親族再審、長期化で継続困難に=死亡や高齢化で打ち切り―重大事件17件中6件

 殺人などの重大事件で有罪が確定した刑事裁判のやり直しを求める再審請求で、死亡するなどした元被告の代わりに親族が申し立てたケースが戦後少なくとも17件あり、うち6件が申立人の死亡や高齢化により継続困難になっていることが12日、日弁連や各地の弁護団への取材で分かった。
 再審請求は手続きの不備による長期化などが問題視されており、超党派の国会議員がまとめた改正法案が衆院に提出されたほか、法務省の法制審議会部会でも見直しの議論が進められている。専門家は「早期決着のために、証拠開示拡大や検察の不服申し立て禁止などが必要だ」と指摘する。
 日弁連や弁護団によると、親族が亡くなるなどして再審請求ができなくなったケースは、1947年に2人が殺害された「福岡事件」(福岡市)=強盗殺人罪で死刑確定、執行=など3件あった。
 28年に1人が死亡した「山本事件」(広島県)=尊属殺人罪で無期懲役確定=は、裁判資料が戦災で焼失。元被告の死亡後に再審請求した妻が認知症となり、終了した。
 48年に銀行員ら12人が毒殺された「帝銀事件」(東京都)で、獄死した平沢貞通元死刑囚の第19次再審請求は、申し立てた元死刑囚の養子が2013年に死亡。別の遺族が引き継いで第20次請求を申し立てたが、昨年1月に死亡して打ち切りとなった。
 6人が死亡した「三鷹事件」(同)=電車転覆致死罪で死刑確定=の竹内景助元死刑囚は病死し、再審請求した長男も昨年5月に死亡。決まっていた証人尋問が行われないまま打ち切りとなった。帝銀事件や三鷹事件など3件は弁護団が再度の請求を模索しているが、新たな申立人が見つかるめどは立っていない。
 再審制度に詳しい青山学院大の葛野尋之教授(刑事訴訟法)は「長期化の要因は不十分な証拠開示や検察の不服申し立て、手続き規定の不備だ。非公開の手続きで時間を要し、申立人が亡くなることを深刻に捉えるべきだ」と話している。