【サンパウロ時事】南米ベネズエラで、米軍に拘束されたマドゥロ大統領の職務を代行するロドリゲス暫定大統領が就任して12日で1週間。国内向けには米国に従属しない立場を強調する一方で、対外的には対米融和姿勢を示してトランプ米大統領から「再攻撃中止」の言質を引き出すなど、現実路線で難局の打開を模索している。
「ベネズエラの平和を守るために対面で外交を行う」。ロドリゲス氏は9日、米国との交渉に国の活路を見いだす考えを示した。米外交団が同日ベネズエラに派遣され、両国は相互の大使館再開に向けた作業を開始した。
ロドリゲス氏は5日、最高裁の決定を受けて暫定大統領に正式就任。トランプ氏が最も関心を寄せる石油利権に関し、米側に最大5000万バレルの原油の引き渡しを決めた。8日には兄のロドリゲス国会議長が「平和模索への意思表示」として800人以上いるとされる政治犯に関し「相当数の釈放」を発表した。
一連の素早い動きをトランプ氏も評価。9日の投稿で「米国とベネズエラはうまく協力している」と歓迎し、再攻撃は「もう必要ない」と表明した。「マドゥロ氏後」のベネズエラに大きな混乱は起きておらず、副大統領のロドリゲス氏が政権を引き継げば安定を維持できるというトランプ氏の期待に応えてみせた格好だ。
一方で、米軍の攻撃はベネズエラ側に100人の死者をもたらし、国内では米国への批判の声が渦巻く。ロドリゲス氏は8日の追悼式で、犠牲者を「英雄」などと呼び、遺族に寄り添うための「支援委員会」の設置を公表した。政権内の対米強硬派やマドゥロ氏支持者の顔色をうかがい、「誘拐された」マドゥロ氏の早期解放に向け「闘う」構えも崩していない。
ロドリゲス氏を巡っては、マドゥロ氏を米側に引き渡す代わりに政権の温存を図る密約を昨年中に提案したという報道もある。激しい権力闘争を勝ち抜いて外相や通信相、副大統領を歴任した生粋の反米左派だが、したたかな側面も見せている。
〔写真説明〕ベネズエラのロドリゲス暫定大統領=8日、カラカス(ロイター時事)