【ワシントン時事】トランプ米政権は、南米ベネズエラのマドゥロ大統領を排除した後も、同国への圧力を継続する構えだ。圧倒的な軍事力を背景に自国の要求を突き付ける姿はかつての「砲艦外交」をほうふつとさせる。「裏庭」と見なす中南米での影響力拡大をもくろむトランプ政権に警戒感が強まっている。
ルビオ国務長官は4日、NBCテレビの番組に出演し「ベネズエラは米国の圧力に直面し続けるだろう」と警告した。マドゥロ政権が2024年の大統領選で野党統一候補の勝利を認めなかったことや米国への麻薬密輸などに触れ、ベネズエラ政権幹部に対応を迫った。
米軍は最新鋭の原子力空母「ジェラルド・フォード」を中心とする空母打撃群に加え、強襲揚陸艦「イオージマ」や複数のミサイル駆逐艦をカリブ海に展開した。1万5000人を超える米兵を集結し、海軍戦力の25%をベネズエラ周辺に投入しているとされる。
米政権は麻薬対策を名目に「麻薬密輸船」への攻撃やベネズエラに出入りする石油タンカーの拿捕(だほ)を実施してきた。マドゥロ氏拘束後は「当初からマドゥロ政権を倒し、米石油企業とトランプ氏の億万長者の友人がベネズエラの原油を手に入れる狙いだった」(バンホーレン米上院議員=民主党=)との見方が強まっている。
トランプ大統領は西半球への他国の干渉を拒む「モンロー主義」に自身の名前を重ねた「ドンロー主義」を掲げる。ベネズエラに対する事実上の海上封鎖を続ける一方、メキシコやコロンビアに軍事介入を辞さない姿勢を見せる。
トランプ氏の力ずくの外交に対し、中南米諸国は反発を隠さない。メキシコやコロンビア、ブラジル、チリなど6カ国は4日に共同声明を出し、マドゥロ氏を拘束した米国の軍事行動を「一方的だ」と断じ、深刻な懸念を表明。武力行使を禁じた国連憲章に違反すると批判した上で「極めて危険な前例になる」と警鐘を鳴らした。
〔写真説明〕6日、ワシントンで演説するトランプ米大統領(AFP時事)