3代目「北海の守護神」ついに就役! 最新巡視船「そうや」強力な砕氷能力+隔離病棟 海保最大級ヘリの発着もOK!

海上保安庁の新型砕氷巡視船「そうや」が2025年12月19日に引き渡され、釧路海上保安部へ配備されました。47年ぶりに更新された「北海の守護神」、その能力について造船所で見てきました。

領海警備などでは船隊の中枢として機能

 海上保安庁は2025年12月19日、ヘリコプター搭載型砕氷巡視船「そうや」の引き渡し式をJMU(ジャパンマリンユナイテッド)横浜事業所磯子工場で実施しました。配備先は北海道の釧路海上保安部(第一管区海上保安本部)で、同月28日に初めて入港しました。

 同船は、47年間にわたって活躍した先代「そうや」に代わって、北太平洋やオホーツク海を中心に、海難救助や海洋権益の保全、流氷観測、大規模災害などに対応します。

 海上保安庁長官の訓示を代読した同庁の坂巻健太次長は「海上保安庁において『そうや』という名の巡視船はもっとも歴史ある船名だ。初代『宗谷』は南極観測船として名高く、2代目『そうや』はPLH01が示すとおりヘリコプター搭載型巡視船の源流であり、北海の守護神として約半世紀にわたって北の海を守り続けてきた」と話します。

 今回引き渡された「そうや」は2021年度の補正予算で建造が決まりました。船体サイズは全長約92.4m、幅約16.4m、総トン数は約4200トン。厚さ1mの氷を割りながら3ノット(約5.56km/h)で航行できる連続砕氷能力を持っています。

 船首には30mm機関砲を装備するほか、遠隔で操作できる高圧放水銃も搭載。遠隔監視採証装置や停船命令などの表示装置なども備えます。また、操舵室の後方には通信装置やヘリからの画像伝送装置などが置かれたOIC(オペレーション・インフォメーション・センター)室が設けられており、領海警備などでは船隊の中枢として機能することが見込まれています。

 加えて、新型コロナウイルスのパンデミック後に計画された「そうや」ならではの設備として特筆すべき点が、伝染病などに感染した患者の搬送を見越して、隔離可能な診療室が設けられている点でしょう。

 ここには船内を経由せずに外から直接、感染症患者を運び込める構造となっており、担架に乗せたまま寝かせられるスペースが確保されていました。さらに専用のトイレやインターホンも設けられ、患者が船内の他の区画に移動しなくても済むようになっています。

スーパーピューマも発着可能! 氷海試験を重ねた独自の船体形状

「そうや」の船体後部にはヘリコプター格納庫が設けられており、シコルスキーS-76Dを1機搭載するほか、高速警備救難艇1隻と複合型ゴムボート2隻も収容します。なお、ヘリ甲板は海上保安庁最大級のヘリコプターである「スーパーピューマ225」型クラスの発着にも対応しており、厳冬期でも運用が出来るように融雪装置まで設けられています。

 JMUは建造にあたり、同社の技術研究所が保有する氷海試験水槽を活用して実海域を再現した試験を重ね、氷海域と平水域の両方で高い運航効率を達成できる船型を採用しました。

 冬季に海氷海域で航行することを想定し、鋭角の砕氷型船首を採用するとともに、ヘリコプターの発着スペースを確保するため、船尾形状はオーバーハング型になっているのが特徴です。また、操船性を向上させるために船首側にバウスラスターを設けるとともに、船尾の舵は2枚舵を採用しました。

 前出の坂巻次長は、「最新鋭の装備を備える進化した『そうや』の就役に新しい時代の幕開けを感じさせ、北の海の守りが一層強化されることを大変心強く思う。乗組員諸君は厳冬のオホーツク海で厚い氷に閉ざされた中で救助を待つ人々にとって、『そうや』が希望の光であることを意識してほしい」と訓示していました。

 一方、大室泰典船長は「今日乗り始めたばかりなので、これから実際に操船するのが楽しみ」とのこと。また、続けて「先代『そうや』と比べると船内環境は格段に違い、操縦性能も格段に向上している。2026年2月には海氷観測が予定されており、そこで海氷域でどれだけ動けるかという検証もしていく」と話していました。

 加えて、「近年は流氷も少なくなっているが、海氷域で何か起きた時に海保庁唯一の大型砕氷巡視船として、任務を全うできるようにしたい」「北の守護神、北海の守護神の名を汚さないよう、乗組員心ひとつにしてやっていきたい」と強調していました。

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