【ベルリン時事】世界で抹茶人気に火が付き、品薄が問題になっている。抹茶ラテやアイスにとどまらず、自宅で抹茶をたてる本格派まで裾野が拡大。日本の茶農家にとっては追い風だが、粗悪な外国産も出回り始めている。
▽コーヒーのライバル
若者が集まるベルリンの一角にある抹茶カフェ「マッチャサム」では、バナナ風味の抹茶ラテ「バナナブレッドマッチャ」が人気メニューだ。オーナーのユリア・ビンケルさん(47)は、夏場には行列ができると胸を張る。「高品質で見た目も良い抹茶ブランド」を扱おうとコロナ禍にひらめき、2022年にオープンした。
写真映えを重視する若い世代を意識して内装や商品デザインに気を配りつつ、高齢者層向けにサプリメント入り抹茶も開発。最近では本格志向の客に「ひき立て」を提供するため、石臼機を仕入れた。「抹茶は今やコーヒーの強力なライバルだ」とビンケルさん。ドイツ北部ハンブルクや南部ミュンヘンなどへの展開を予定している。
日本から世界への抹茶輸出量はうなぎ登りで、25年は1~10月に6889トンと、コロナ前の水準の3倍に到達。それでも需要を満たせず欧米で社会問題化し、「世界で抹茶が枯渇している」(英BBC放送)状況だ。
▽日本産偽装も
日本国外での茶生産も広がっている。23年にベルリン近郊で茶栽培を始めたアンチェ・クーンレさん(38)は、もともとフランスでワインを造っていた。消費者のワイン離れが進む中、「お茶の方が将来性がある」と一念発起。先例がほぼない中、26年の初出荷を目指して試行錯誤を続けている。
一方、海外産の中には、「宇治」などと表示して日本産を装うケースも。米紙ニューヨーク・タイムズは、粗悪品のまん延で、抹茶の伝統が「ほんの数年で軽蔑や欺瞞(ぎまん)にまみれてしまった」と伝えている。
「歯がゆい思いだ。伝統を正しく伝える必要がある」と話すのは、裏千家淡交会ベルリン協会の菅井暢子会長(68)。本格的な茶席体験会や、茶の湯の通史のドイツ語翻訳を企画している。
〔写真説明〕抹茶カフェ「マッチャサム」オーナーのユリア・ビンケルさん=2025年12月、ベルリン