ANAが週3往復、羽田から直行便を飛ばしているオーストリア・ウィーン線。そのウィーンの空港および都市部からバスや電車などで1時間弱で、一般的なヨーロッパとは明らかに異なる景観を持つ都市へ行けることはあまり知られていません。それがスロバキアの首都「ブラチスラバ」です。どのような都市なのでしょうか。
缶ビール50円台
ANA(全日空)が週3往復、羽田から直行便を運航しているオーストリア・ウィーン線。そのウィーンの空港や市内中心部から、バスや電車で1時間弱移動するだけで、一般的な「ヨーロッパの街並み」とは明らかに異なる景観を持つ都市へ行けることは、あまり知られていません。その都市が、スロバキアの首都ブラチスラバです。どのような街なのでしょうか。
スロバキアは、社会主義体制の国家だった「チェコスロバキア」から1993年に独立し、「スロバキア共和国」として歩み始めました。2004年にはEU(欧州連合)に加盟しており、ヨーロッパの中では比較的新しい国といえます。国土面積は約4万9000平方キロメートルで、九州とほぼ同じ規模です。人口は約550万人。自動車産業が基幹産業のひとつで、人口1人あたりの完成車生産台数は世界一ともいわれています。
ブラチスラバはスロバキアの西端に位置しています。旧市街には石畳と歴史的建築が並び、いかにもヨーロッパらしい雰囲気を味わうことができます。一方で、トラムに乗って市街地から少し離れると、旧社会主義国に特徴的な高層集合住宅「フルシチョフカ」が立ち並ぶエリアが現れます。社会主義時代に建設された、UFO型の展望台を備える「SNP橋」も街の象徴的存在です。こうした景観は、いわゆる“ワンパターンなヨーロッパ観光”とは一線を画す魅力といえるでしょう。また旧市街には、マンホールの穴から上半身だけをのぞかせる男性像「チュミル像」をはじめ、少しユニークな銅像が街の至るところに設置されています。
ウィーン中央駅とブラチスラバ中央駅の間は鉄道で結ばれており、所要時間は片道1時間弱です。往復の鉄道運賃に加え、ブラチスラバ市内の公共交通が乗り放題となる「ブラチスラバ・チケット」は18ユーロ(約3300円)で購入できました。ヨーロッパらしい洗練された雰囲気のウィーン駅と、どこか旧社会主義国らしい無骨さを残すブラチスラバ駅を、短時間で行き来できる点も、この区間ならではの楽しみ方で、プチ鉄道旅としてもおすすめできます。
EU加盟国でありながら、物価が比較的安いこともスロバキアの特徴です。ホテル料金は他の西ヨーロッパ諸国と比べて抑えめで、音楽やオペラといった文化的な公演も、質の高いものを手頃な価格で楽しめるといいます。酒類も安く、かつ品質が高いことで知られており、スーパーマーケットでは500ミリリットルの缶ビールが1本0.3ユーロ(約55円)で販売されていることも珍しくありませんでした。また、スロバキア国立ワインコレクションでは、上質なスパークリングワインを約12ユーロ(約2200円)で購入することもできます。
大使に聞く「スロバキアのオススメの楽しみ方」
治安の良さも大きな魅力です。今回、在スロバキア日本国大使館の川上泰弘・全権特命大使がインタビューに応じ、次のように話してくれました。
「夜に女性が一人で歩いていても、まず何も起きません。また、街がとても綺麗なことにも驚かれると思います。これはブラチスラバ市長が綺麗好きで、徹底して清掃を行っているためです。車のマナーも比較的良く、横断歩道で歩行者がいると止まってくれることが多いですね。意地悪な人はいない、優しい人が多いという印象です」
さらに川上大使は、ブラチスラバ周辺の楽しみ方についても紹介します。
「ウィーンからの日帰りや1泊2日の滞在が主流ですが、実は温泉やサウナも有名です。ピエシュチャニという街は、ヨーロッパでも最大級のスパリゾートとして知られていますし、サウナの世界大会が開かれるような施設も東部にあります。そうした目的があれば、ゆっくり滞在するのも良いでしょう」
「ワイナリーツアーも人気で、ウィーンからスロバキアのワイナリーを巡り、ハンガリーのトカイ地方へ抜ける周遊ルートもおすすめです。国土の横幅は約500キロメートルほどなので、ポーランドやハンガリーへ向かう旅の途中に立ち寄るのも面白いと思います」
川上大使は「まずは知ってもらうこと、認識してもらわなければ始まらない」と話します。ただ、西ヨーロッパにはない独自の景観と文化、優れたコストパフォーマンス、そして治安の良さを併せ持つスロバキアは、非常に高いポテンシャルを秘めた旅行先といえるでしょう。