政府は、カジノを含む統合型リゾート(IR)について、大阪府・市に続く整備箇所の再選定に向けた手続きを本格化させる。滞在型観光を推進する目的で制定されたIR実施法で、開設できるのは3地域までと決まっており、2枠が残る。再選定で、自治体が国に誘致を申請できる期間は2027年5月から半年間に設定される見通し。これまでのところ、北海道などで誘致を見据えた動きがある。
IRはカジノを中核として、ホテルや劇場などを一体的に運営する複合観光施設。誘客の起爆剤とするため、開設のルールを定める実施法が18年に成立した。21年に始まった最初の選定受け付けでは、大阪府・市と長崎県が申請。23年に、大阪は経済波及効果などを理由に認定された一方、長崎は資金調達の根拠が不十分だとして見送られた。
再選定に向け、観光庁が都道府県・政令市に調査したところ、一部自治体から申請の意向が示されたと25年12月に発表。申請時期を27年5月6日~11月5日とする方針を示した。申請があれば、認定基準を満たすかどうかを審査する。
現在、候補と目されているのが北海道だ。道は25年8月、道内市町村に意向調査を実施し、2自治体が関心があると答えた。関係者によると、この他にも東京都で誘致を目指す動きがあるという。
審査のカギになるのは、透明性のある多額の資金を確保できるかどうか。観光庁幹部は「大都市部では大資本が積極的に参画し、透明性のある資金を確保しやすいが、地方はそこが厳しい」と話す。
IRを巡っては、ギャンブル依存症を助長したり、治安が悪化したりすることへの懸念も根強い。最初の選定の過程では住民や地方議会の理解が得られず申請を断念するケースも出ており、開設へのハードルは高い。
〔写真説明〕大阪・夢洲に整備される統合型リゾート(IR)の完成イメージ図(MGM大阪株式会社提供)