国民民主党が、看板政策の「年収の壁」見直しで一定の成果を挙げ、与党でも野党でもない「ゆ党」路線に手応えを感じている。2026年度予算案成立への協力など、高市早苗首相との距離を縮めるが、連立政権入りには迷いもうかがわせる。
「一定の信頼関係が醸成された。協力の在り方は幅も深さも拡大させていく」。玉木雄一郎代表は23日の記者会見でこう強調。来月召集の通常国会で、高市政権との連携を強化する考えを示した。
与党は衆院で過半数を回復したが、参院はなお少数。政権基盤の不安定さは否めない。国民民主はこれを好機と捉え、今後も「手取りを増やす」政策を要求していく方針だ。
与党内には、国民民主の連立入りを望む声が根強い。積極財政路線で足並みをそろえるなど、政策的な親和性の高さが背景にある。
玉木氏はこれを否定しないものの、なお是々非々の立場を堅持。政府提出法案を巡り「包括的に賛成ということなら、それはイコール連立だ。そうではないポジションを取っている」と一線を画す。
国民民主は衆参計52人。対する自民党は300人近くと、勢力には大きな差がある。このため、玉木氏は連立入りで交渉力が弱まることを懸念。世論に「政権の補完勢力」と映れば、支持を失うリスクもはらむ。
国民民主幹部は、与党に転じた日本維新の会が政策実現で苦心している現状に触れ、「政権に入っても影響力の発揮は難しい」と指摘。支援団体の連合も反対の立場を崩さない。
玉木氏は「議席を増やさないと、自分たち主導で実現できる政策に制約を受ける」と主張。当面は党勢拡大を優先しつつ、与党との間合いを探る構えだ。次期衆院選では、内閣不信任決議案を単独提出できる51議席以上の獲得目標を掲げる。
「今は与党との新たな連携の在り方を模索している段階だ」。国民民主幹部は悩ましい胸の内を吐露した。
〔写真説明〕記者会見する国民民主党の玉木雄一郎代表=23日、国会内