公正取引委員会は24日、生成AI(人工知能)による検索サービスを提供するIT企業と報道機関との取引について、実態調査を始めると発表した。ニュース記事の無断使用が優越的地位の乱用など独禁法違反に当たる可能性がある。米グーグルやLINEヤフー、米マイクロソフトのほか、「チャットGPT」を提供する米オープンAIや米新興企業パープレキシティなどが対象となる。
AI検索は、利用者の質問に対し、AIがインターネット上に公開された記事や資料を自動で要約し回答する仕組み。公取委は、記事の無断使用が取引妨害や抱き合わせ販売に該当する恐れもあるとして、IT企業と報道機関の取引状況や、競争環境への影響を調査する。岩成博夫事務総長は同日の記者会見で、「生成AI(の関連サービス)は非常に動きが速い。変化もフォローしながらよく調べる必要がある」と述べた。
日本新聞協会は、ユーザーが情報発信元のウェブサイトを訪問しない「ゼロクリックサーチ」を問題視。23日公表した政府への意見書で「コンテンツから得た収入をさらなる報道活動に投下する再生産サイクルが損なわれる」と指摘し、報道機関の収益力低下を懸念している。