「こどもの国」に特別の思い=60周年、関係者の尽力に感謝―上皇さま

 23日に92歳となった上皇さまは、上皇后さまとの結婚を記念して開園し、今年60周年を迎えた「こどもの国」(横浜市青葉区、東京都町田市)に特別の思いを寄せ、ご夫妻で長く見守られてきた。6月には園長らと面会し、関係者が子供のため長年尽力したことに「ありがとう」と感謝を伝えた。
 同園は「『あそびのなかに、未来がある。』をテーマに、これからも自然豊かな健全な遊び場として、子供たちの心身の成長を育むという使命を果たしてまいりたい」としている。
 1959年の上皇ご夫妻の結婚に当たり、国民から寄せられたお祝い金を基に建設され、65年5月に開園。都市化で緑が失われつつある中、子供たちに自然に親しめる場所を残したいとのご夫妻の意向を踏まえて建設され、「都会の子供たちに、牛を見せてあげたい」との上皇さまの発案で牧場も併設された。
 ご夫妻は62年4月、起工式から間もない同園を訪れて以降、節目の式典などで訪問を重ね、上皇さまは11回、上皇后さまは14回足を運んだ。時にはお子さま方を伴い、85年5月の開園20周年記念式典の際には長女黒田清子さんと地下鉄に乗って来園した。
 ご夫妻は2009年12月、天皇、皇后両陛下、秋篠宮ご一家、黒田さん夫妻と3世代11人で訪れた。秋篠宮家の長男悠仁さまは初訪問で、皇太子妃だった皇后さまに助けられながら牛の餌やりを体験。ご夫妻を先頭に11人でミニSLにも乗車した。同園は旧日本軍の弾薬庫跡地にあり、戦時中に砲弾造りをした女学校の卒業生らが建てた「平和の碑」も訪れた。
 15年5月の開園50周年記念式典で上皇さまは、同園が「多くの子供たちに愛され、ここで育まれた経験が、子供たちの人生を豊かにしていくことを願います」と述べた。退位を控えた19年4月にもご夫妻で訪れ、機関車型のバス「あかポッポ号」に乗って園内を一周した。
 側近によると、ご夫妻は今年6月17日、同園運営法人の理事長と、園長、副園長(いずれも当時)から、お住まいの仙洞御所(港区)でこれまでの歩みと現状について説明を受けた。ご夫妻は、同園が今も多くの人々に親しまれていることを喜び、関係者の長年の尽力に改めて感謝を伝えた。 
〔写真説明〕「こどもの国」が開園し、園内を見学される皇太子時代の上皇さま=1965年5月5日、横浜市
〔写真説明〕「こどもの国」の開園20周年記念式典に向かうため、地下鉄に乗られる上皇ご夫妻(当時・皇太子ご夫妻)と長女の黒田清子さん(同・紀宮さま)=1985年5月6日、東京都内
〔写真説明〕「こどもの国」を訪れ、皇太子妃時代の皇后さまと牛の餌やりを楽しまれる秋篠宮家の長男悠仁さま=2009年12月19日、横浜市
〔写真説明〕ご一家11人で「こどもの国」を訪れ、笑顔でミニSLに乗車された上皇ご夫妻、天皇、皇后両陛下、秋篠宮ご一家、黒田清子さん夫妻=2009年12月19日、横浜市