政府は23日の閣議で、新たな「サイバーセキュリティー戦略」を決定した。中国、ロシア、北朝鮮などによる国家を背景としたサイバー攻撃が「深刻な脅威となっている」と指摘。重大な事案には「警察と防衛省・自衛隊が共同で攻撃の無害化措置を実施する体制を構築する」と明記した。
新戦略は、急速に発達する人工知能(AI)を利用した攻撃が新たなリスクとして深刻さを増すと危機感を示した。その上で、平時からネット空間の通信情報を監視してサイバー攻撃を未然に防ぐ「能動的サイバー防御」導入法の成立を踏まえ、「国が要となる防御と抑止」を打ち出した。
具体的には、導入法成立に伴って設置された国家サイバー統括室(NCO)に情報を集約。攻撃事案の的確な把握や分析、評価を迅速に行う。人材育成や体制整備を進め、訓練や演習も実施する。
また、官民連携の強化も盛り込み、基幹インフラ事業者などが参加する協議会で、双方向で情報を共有。「いかなる国家も単独で対応することは困難」だとして、同盟国・同志国との協力に取り組む方針も示した。戦略の対象期間は今後5年間。