2007年に共にオールスターのピッチに立ったレジェンド3名、選手以外にも光が当たる“オールスター”の復活に「存分に楽しんでほしい」

 15日に「Jリーグオールスター開催発表記者会見」が開催され、Jリーグ特任理事を務める小野伸二、中村憲剛、内田篤人の3氏が登壇。オールスターにまつわるトークショーを行った。

 日本代表としても活躍し、ワールドカップにも出場した3名。彼らには一つの共通点がある。2007年、エコパスタジアムで行われたオールスターサッカーのピッチに、同じ「J-EAST」の一員として立っていたこと。その記憶を呼び覚ますように、3人が再び集い、来年新たに開催される「JリーグオールスターDAZNカップ」への期待、そしてJリーグの未来について語り合った。

 かつての記憶は鮮明だ。2007年のオールスターは、小野氏と内田氏にとっては地元・静岡での開催。小野氏は3回目、内田氏は2回目の出場だったが、中村氏にとってはJ1昇格3年目にして掴んだ初の晴れ舞台であった。「すごく嬉しかったですし、中間発表で僕1位だったんですよ」と、当時を振り返る中村氏。その喜びは格別だったようだ。一方、当時まだ18歳だった内田氏は、錚々たるメンバーに囲まれた経験を「高校生の時にテレビで見ていた人たちの中に急にポンって入るみたいな感じ。緊張感もあり、幸せだなとも思いました」とルーキーとして初めて出場した2006年のオールスターを振り返った。普段は熾烈な戦いを繰り広げるライバルたちと「同じピッチでプレーできる喜び」、そして何より「ファンの方に選んでいただいた幸せな気持ち」。小野氏が語るその想いは、オールスターという舞台の本質を物語っている。

 そして2026年、大きな変革が待つJリーグにおいて、17年ぶりにオールスターは新たな形で生まれ変わる。J1、J2、J3の全カテゴリーの選手が集結する、史上初の大会として開催。この新たな試みに、3人の期待は大きい。「J2、J3の混合チームが生まれる。これまでにないオールスターになるんじゃないか」と小野氏が口火を切れば、中村氏も「それぞれのカテゴリーの選手たちそれぞれにモチベーションがある。凄く面白い試合になる」とコメント。2025シーズンのJ2、J3が見せた最終盤の盛り上がりは記憶に新しく、内田氏も「このオールスターでも激しい試合、いいプレイっていうのが見られたら嬉しい」と、カテゴリーを超えた真剣勝負に胸を躍らせる。6チームによるワンデートーナメント形式、試合時間は30分。凝縮された時間の中で、選手の技術とプライドが激しくぶつかり合う光景が目に浮かぶようだ。

 また、今回のオールスターはピッチ上の戦いだけが全てではない。Jリーグ33年の歴史を支えてきた、ピッチ外の「オールスター」たちにも光を当てる企画が検討されているという。現在企画中とのことだ、3人からは様々なアイデアが飛び出した。内田氏は「芝生を管理されてる方」「ボランティアの方」、さらには「寮のおじちゃん、おばちゃん」といった、選手の日常を支える人々の名を挙げる。小野氏は、Jリーグ創設期からクラブを支えてきた「当時の社長」たちの思いを聞きたいと語る。そして中村氏が提案した「地域の自治体」「スポンサーの方々」や、内田氏が「めちゃくちゃ面白い」と目を輝かせた「記者」への逆インタビュー案。そうした企画が実現すれば、Jリーグが選手やクラブだけでなく、いかに多くの人々の情熱によって成り立っているかを再認識させてくれる試みとなりそうだ。

 最後に、ファン・サポーターへのメッセージが求められた内田氏は「普段は敵チームだったりするとは思うんですけど、もう隔たり関係なく、ファン投票していただいて、皆さんでJリーグをこれからも作っていく。このオールスターを非常に楽しみにしてほしい」と呼びかける。中村氏は「やる側の選手たちだけじゃなく、支えてきた皆さんにもフォーカスが当たる。サッカーに関わるみんなで盛り上げられる1日にできたら」と、一体感を訴えた。そして小野氏は、歴史への敬意を込めてこう締めくくった。「Jリーグができる前から日本サッカーを支えてくれた人たちの思いっていうのもね、やっぱここにかけてもらいたい。出る選手達はそういう人達がいたおかげで今があるってこと、感謝の気持ちを忘れず、ピッチの上で存分に楽しんでほしい」。選手が輝き、支える人々が讃えられ、ファンが熱狂する。過去への感謝と未来への希望が交差する新たな祭典。それは、Jリーグに関わる全ての人のための「オールスター」となるだろう。

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