「ボーイングの新型旅客機」結局どうなる? 幹部が話す「797」実現のヒント 海外で「作ります!」報道後の最新状況とは

ボーイングが、新型旅客機の開発に着手したと報じられています。実現すれば「ボーイング797」誕生といえるかもしれない、この新型機の最新の検討状況は、どのようなものになっているのでしょうか。同社の幹部がその質問に答えています。

「拡張性低くね…?」と一部で声も

 アメリカの「ウォールストリート・ジャーナル」は、航空機メーカーのボーイングが新型旅客機の開発に着手したと報じました。報道によると、新型機は客室通路が1本の「単通路機」と想定されており、2025年現在、同社の単通路機の主力である「737MAX」の後継となる計画とされています。この新型機の最新状況はどのようになっているのでしょうか。

 2025年12月、ボーイング民間航空機部門のマーケティング担当バイスプレジデントを務めるダレン・ハルスト氏が、日本の報道陣向けに記者会見を開き、この新型機案について見解を述べました。

「737MAX」シリーズは150席から200席クラスの単通路型で、ボーイングでもっとも売れた旅客機「737」シリーズの最新派生型です。ラインナップは737-7、737-8、737-9、737-10の4種類で、-10は最大230席を配することも可能です。

 737シリーズの初期型の初飛行は1967年で、それ以来、初期設計を活かしながらデジタル化や効率の良いエンジンなどの改良を重ね、数多くの派生型を生み出してきました。この「初期設計を活かす」という思想は、既存ユーザーにとって「パーツの共通化で整備コストを抑えて新型機を導入できる」というメリットとなり、それがシリーズ累計1万機以上の販売につながった背景でもあります。

 しかしその一方で、一部では基本設計が古いことによる拡張性の低さを指摘する声が指摘されてきました。こうしたなかで報じられたのが、新型単通路機の開発計画です。

「797」結局最新状況はどうなの?

 ボーイングによると、737MAXシリーズは6850機の受注を獲得しており、ハルスト氏は「2030年代半ばまでは十分なバックログがあります」と説明します。この数字には、航空機の実用化のうえで不可欠なFAA(アメリカ連邦航空局)などの「型式証明(当局側がその型式自体の性能・安全性を保証する制度)」をまだ取得していない「737-7」「737-10」も含まれています。

 こうした状況下で新型機開発の報道が出ましたが、ハルスト氏は「現在の最優先事項は737-7と737-10など、最新サブタイプの型式証明の取得であり、現時点で新型機の開発は時期尚早と考えています」と述べました。

 そのうえで、新型機をつくる条件について次のように説明します。

「将来の技術を注視しています。新型機の開発には3つの要素があります。1つ目は市場が新しい飛行機を必要としているか。2つ目は成功できる技術が存在するか。3つ目は、それを設計・製造する我々の能力です」

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 ボーイングはかつて「NMA(New Midmarket Airplane、新中型機)」と呼ばれる計画を公表していましたが、2020年に事実上白紙となりました。これはメディアの間で「ボーイング797」と呼ばれていたプロジェクトです。

 ハルスト氏の説明を総合すると、「まずは737MAXシリーズのすべてのサブタイプを実用化させ、そのうえで新型機開発を状況に応じて判断する」という方針になります。とはいえ、将来的には先端技術を組み込んだ“797”が発表される可能性は十分に残されているといえそうです。

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