攻撃自制の用意=第2段階巡り、武装解除は否定―ハマス元指導者

 【カイロ時事】トランプ米大統領が推進するパレスチナ自治区ガザの和平計画を巡り、イスラム組織ハマスの元最高指導者メシャル氏は、イスラエルに対する攻撃を自制する用意があると述べた。一方で、ハマスの武装解除は「(組織の)魂を奪い去ることに等しい」として拒否する考えを強調した。中東の衛星テレビ局アルジャジーラが同氏とのインタビュー内容を10日報じた。
 イスラエルとハマスが10月に和平計画「第1段階」で合意し、停戦入りして以降、ハマス拘束下の人質48人(死者含む)は1遺体を除きイスラエル側に引き渡された。仲介するトランプ氏は早期に「第2段階」に移行したい考えだが、同段階にはハマスの武装解除や新統治機構の設置などが含まれ、交渉は難航が予想されている。
 米当局者はアルジャジーラの取材に、第2段階に向けた集中的な交渉が行われていると強調している。ただ、イスラエルはこれまで、第2段階の最重要課題はハマスの武装解除だと主張。メシャル氏の発言は、今後の交渉で一部譲歩する考えを示しつつ、武装解除は「レッドライン(譲れない一線)」だと訴えた形で、イスラエルとの溝は依然埋まっていない。
 メシャル氏はガザの戦後統治に関し、パレスチナ主体ではない組織は受け入れないと明言。トランプ氏がトップに就く「平和評議会」の設置に否定的見解を示した。また、第2段階への移行には、ガザへの支援物資の搬入拡大が不可欠だと指摘。「仲介国には、ガザの復興を手助けする人間が必要だと伝えている」と語った。 
〔写真説明〕イスラム組織ハマスの元最高指導者メシャル氏=2021年12月、ベイルート(EPA時事)