【シドニー時事】オーストラリアで16歳未満の子供のSNS利用を禁止する措置が10日に施行される。国レベルでの禁止は世界で初めてとなり、各国が運用の行方を注目。欧州などで同種の規制を検討する動きも広がっている。
SNSを介したいじめや性的搾取の被害が相次いだことを受け、禁止の根拠法が昨年11月に議会で可決された。対象となるSNSの運営企業は16歳未満の接続を阻止する義務を負い、違反した場合には最大4950万豪ドル(約51億円)の罰金が科される。子供や保護者に対する罰金はない。
政府は既に、X(旧ツイッター)、フェイスブック、ユーチューブ、中国系短編動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」をはじめとする10のSNSを禁止対象に指定。一部企業は施行に先立ち、16歳未満のアカウントを無効化する手続きを進めている。政府は今後半年間、各企業に対応状況を毎月報告させる。ウェルズ通信相は「規制には時間と忍耐が必要だ」として、罰則の適用は証拠に基づき慎重に判断する意向を示している。
国外では、欧州連合(EU)の欧州議会が16歳未満を対象に保護者の許可なくSNSを利用することを制限するよう求める決議を採択。フランスやデンマークも個別に15歳未満の禁止を検討している。マレーシアやニュージーランドでも16歳未満の禁止に向けた動きが進む。豪州の運用状況は追随する国・地域の方針に影響を与えそうだ。
一方、仮想プライベートネットワーク(VPN)を用いて国外からの接続を偽装するような「抜け穴」も指摘され、禁止措置がどこまで実効性を挙げられるかは不透明だ。
〔写真説明〕スマートフォン画面に表示された各種SNSアプリのアイコン=10月27日(ロイター時事)