自動車などのナンバープレートの封印部分に、ペットボトルキャップをつけるのが流行した時期がありました。しかし現在、ナンバープレートの封印にこうしたカスタム施すのは、明確な法律違反となっています。
ナンバープレートの「封印」は単なる「ボルトの蓋」ではない
自動車などのナンバープレートの封印部分に、ペットボトルのキャップなどを取り付ける“カスタム”が流行した時期がありました。主に20年ほど前でしょうか。なぜそんな行為をするのかは謎ですが、「なんか面白い」「手軽にデコレーションできて良い」など、深い意味はなかったように筆者は感じます。
現在ではこうしたカスタムがされたクルマは激減したものの、それでもなお、稀に見かけることもあります。しかし、法的にはどうして違反とされていて、どのように処罰される行為なのでしょうか。弁護⼠法⼈・響(東京都新宿区)に所属する⻄原和俊弁護⼠(第二東京弁護士会)に聞きました。
「ナンバープレートの封印に、ペットボトルキャップを被せる行為は法律違反になる」と西原弁護士は話します。
「後部ナンバープレートの左上にある銀色の『封印』は、単なる『ボルトの蓋』ではありません。これは道路運送車両法という法律で定められた、公的な証票のひとつ。『その自動車が運輸支局で正式に登録・検査を受け、ナンバープレートが正規に交付されたものであること』を証明する、いわば自動車の身分証明書の一部なのです。
そのため、整備などの特別な理由がない場合、一般の方が封印を取り外すことは、道路運送車両法11条5項により固く禁じられています」(西原弁護士)
「覆う」「折り曲げる」はもちろん、「シールを貼る」などもダメ
こう聞くと、封印は装着されてさえいれば、ペットボトルのキャップなどをつけても問題ないようにも感じられます。しかし、西原弁護士はこう続けます。
「2016年4月1日から、ナンバープレートの表示義務に関するルールがより厳格化されました。道路運送車両法では、ナンバープレートは『見やすいように表示』することが義務付けられていますが、この改正に伴い、ナンバープレートは例え無色透明の物であってもカバーで覆ってはならず、またシールを貼ったり、折り曲げたりすることなども、全面的に禁止となりました」
そして西原弁護士は、「ペットボトルのキャップで封印を覆うのは、このうちの『カバーで覆うこと(被覆)』に該当する行為」だといいます。
「封印はナンバープレートと一体の重要な表示物です。何かで隠してしまうと、車両が正規に登録されているかどうかの確認を、妨げてしまう可能性があります。そのため現在の法律では認められていないのです」(西原弁護士)
ボトルキャップに限らず、封印を何かで覆うことは違反となり、今日では罰則も規定されています。もし取り締まられた場合は、シャレにならない結果にもなり得ます。
「まず、封印を不正に取り外した場合の罰則は、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金と定められています。そして、キャップなどで封印を覆って表示義務に違反した場合は、50万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
実際にキャップの装着だけで検挙された、という報道は、あまり大々的にされていません。しかし、警察はナンバープレートの視認性を確保することを重視しており、封印を覆う行為も取り締まりの対象となります」(西原弁護士)
そのうえで西原弁護士は、「封印は車両の公的な証明です。軽い気持ちでキャップを被せたりデコレーションしたりする行為は、重い罰則の対象になりうる行為であることを、認識しておくべきでしょう」と強調しました。