JR仙石線で新型車両のE131系800番代が営業運転を始めました。新車が仙石線に導入されるのは約80年ぶりです。早速、あおば通りまで乗車してみました。
E131系が東北に初進出
JR東日本の仙台地区を走る仙石線で2025年12月1日、新型車両のE131系800番代が営業運転を開始。さっそく乗車しました。
仙石線は、宮城電気鉄道という私鉄の路線として開業した路線です。1944(昭和19)年に国有化され、1987(昭和62)年にJR東日本へ引き継がれました。
歴代の仙石線の車両を見ると、新車は宮城電気鉄道が発注し、国有化後の1946(昭和21)年に登場した車両がありましたが、それ以降は首都圏などからの転属車でまかなわれてきました。ただ、そうした転属車も車体を一新するなど、現代であれば大幅なリニューアルが施された車両もありました。
今回のE131系800番代の導入まで仙石線で使われてきた205系3100番代も、元は首都圏の山手線や埼京線で使用されていた車両を改造して導入しています。完全な新車が仙石線に登場するのは、79年ぶりのことです。
今回導入されたE131系は、JR東日本の都市圏向けの一般形電車です。首都圏だと外房線や内房線などの房総地区をはじめ、相模線や日光線、鶴見線など比較的規模の小さい路線に導入されています。そして今回、仙石線に導入されたことで東北地方にも進出しています。
E131系は、路線によって編成の長さやトイレの有無など、仕様が異なるのも特徴です。仙石線のE131系800番代は、従来の仙石線の車両に合わせて4両編成となり、トイレも備えています。
車体は、従来の仙石線の色を継承しつつ幅を広げています。従来のE131系は基本的に前面に貫通路を備えていますが、仙石線のE131系800番代は貫通路をなくした独自のデザインです。
車内は、仙石線沿いの海の景色をイメージした色彩に。扉の上部には、運行情報や乗換案内を表示する大型ディスプレイが千鳥で配置されています。
実際に乗車してみると
仙石線のE131系800番代は、2025年12月時点で「N編成」として5本が導入されています。運用開始当日に使用されたのはN1~N3編成の3本でした。このうちN1・N2編成は日中も走り、N3編成は朝と夕方に運用されています。
仙台市内の苦竹→あおば通間でE131系800番代に乗車してみると、平日の日中にもかかわらず、沿線の各駅ではE131系800番代を撮影するファンの姿が見られました。
仙石線は名前の通り仙台と石巻を結ぶ路線ですが、仙台周辺の市街地側の区間で多くの利用があります。仙台に向かって乗客が増えていくという流れで、あおば通行きの列車が苦竹駅に到着する時点では座席が埋まり、立席の乗客も数多く見受けられました。
E131系は205系より座席の幅が拡大され、座席自体も座り心地が良くなっています。また、座席を仕切る縦の手すりが増えたことと座面が1人ずつ分割されているため、205系より座る位置が明確になっています。205系は7人掛けの座席に5~6人が座るような使われ方でしたが、E131系は7人掛けの座席に7人が収まり、整然とした印象を受けました。
仙台に到着すると大勢の乗客が降り、ここでようやく青色や赤色(優先席)の座席が現れます。205系とは内装や優先席以外の座席の色が異なりますが、車内が混み合っていると違いに気付かないのかもしれません。
終点のあおば通に到着した列車は折り返し石巻行きとなり、再び大勢の乗客が乗り込んで来ました。折り返しの作業に当たる乗務員が、運転台にあるモニタ画面の操作に手間取っている様子も見受けられました。
ホームでは撮影をしているファンがいることもあって、一般の利用者も電車が変わったことに気付いている様子でしたが、概してリアクションが薄い印象を受けました。良く言えば、運用初日にしてすでに馴染んでいるのかもしれません。
E131系800番代は、2026年春頃までに4両編成14本(56両)が導入され、その後、仙石線でE131系を使用したワンマン運転が始まる予定です。これにより、仙石線の205系が置き換えられる見込みで、E131系と205系が仙石線で仲良く走っている風景は短期間で見納めとなるのかもしれません。
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