中古車価格は“踊り場”へ…でも「下がる気配ナシ」なぜ? レンタカー大量放出 vs 海外の爆買い

コロナ禍以降、高騰を続けてきた中古車価格は、2025年に入り「踊り場」を迎えています。しかし、新車の供給が回復し、レンタカーも市場に流入しているのに、価格は大きく下がりません。その背景に何があるのでしょうか。

新車増にレンタカー放出…国内は「供給過多」?

 昨今、新車の販売台数よりも中古車の販売台数の方が上回る状況が続いています。2025年上半期を例にとっても、新車の販売台数(軽自動車含む)が約274万台(2025年1月~7月)だったのに対し、中古車の登録・届け出台数は約335万台(2025年1月~6月)でした。

 このように、日本国内では中古車の需要は高いのですが、2025年の中古車市場では、価格を下げる方向への力が働いています。その要因の一つに挙げられるのが、新車供給の正常化です。

 ただ、トヨタの一部車種で新規受注が再開されるなど、新車の生産が回復したことで下取り車が増加する傾向も。これにより、中古車オークションへの出品台数は過去最高を記録する勢いにあります。

 さらに大きな供給圧力となっているのが、レンタカーとして使われた「レンタアップ車」の存在です。国内のレンタカー車両台数は、この10年で2倍以上の約117万台に急増しました。これらの車両は通常2~3年で市場に放出されます。

 レンタカーは法的に短いサイクルでの点検が義務付けられており、整備履歴も明確です。一方で、走行距離が多いため、同年式の一般中古車より10~20%ほど安く取引される傾向にあります。

 この「整備が行き届いた割安な高年式車」の大量流入は、特に国内需要が中心のコンパクトカーやミニバンの価格を押し下げる大きな要因となっています。

それでも価格が下がらない! オークションを支配する海外バイヤー

 国内の供給が増えているにもかかわらず、中古車価格全体が高止まりしている最大の理由は、記録的な活況を呈する輸出市場にあります。

 2024年に過去最高の約156.7万台を記録した中古車輸出は、2025年もその勢いを維持し、年間160万台超の新記録も視野に入っています。

 この猛烈な輸出を後押ししているのが、歴史的な円安です。1ドル150円を超える為替レートは、海外のバイヤーにとって日本の高品質な中古車が「格安」で手に入る状況を生み出しています。

 ここで中古車価格の綱引き要因をまとめてみましょう。

 価格が下がる要因としては新車の供給が回復し、下取り車が増加したり、割安な「レンタアップ車」が市場に大量流入したり、さらには自動車ローン金利の上昇で、国内の購買力が低下したりといったことが挙げられます。

 一方、価格が上がる要因としては歴史的な円安で、海外からの買いが殺到することや、SUVやミニバンなど、特定の人気車種は海外需要で価格が決定していることが挙げられます。

 この結果、日本の中古車オークションは、もはや国内の需給だけでなく、海外の需要で価格が決まる「国際商品取引所」のような場へと変貌しています。

 特にSUVやミニバン、ハイブリッド車といった海外で人気の車種は、国内の景気とは関係なく、海外バイヤーの購買力によって価格が吊り上げられているのが実情です。

 この複雑な市場は、消費者にとってリスクとチャンスが混在しています。では、どのように行動するのが賢い選択なのでしょうか。

賢い買い方・売り方のヒントは?

・今、買うならどんな車種?
 レンタアップ車の大量流入が見込まれるコンパクトカーや、国内需要が中心のセダンなどは、供給が増えている今、状態の良い中古車を以前より手頃な価格で見つけられるチャンスかもしれません。

・今、売るならどんな車種?
 一方で、海外で人気のSUVやミニバン、ハイブリッド車をお持ちなら、円安を追い風に高値売却が期待できる今が良いタイミングと言えるでしょう。査定は、国内だけでなく海外の相場を意識している買取店にも相談する価値があります。

 市場を左右するもう一つの鍵は金利です。自動車ローン金利は上昇傾向にあり、消費者の負担は確実に増えています。

 ここに、2025年10月に自民党総裁に就任した高市早苗氏の経済政策、通称「サナエノミクス」が新たな影響を与える可能性があります。高市氏は拙速な利上げに批判的で、金融緩和を維持しつつ積極的な財政政策を志向しています。

 この政策の組み合わせは、さらなる円安を招く可能性が高いと専門家は見ています。円安が一段と進めば輸出需要は一層強まり、輸出向け車両の価格はさらに上振れするでしょう。

 その一方で、金利上昇が抑制されれば国内需要へのマイナス影響は和らぎますが、市場の「二極化」、すなわち輸出向け車両と国内向け車両の価格差は一段と拡大する可能性があります。

 現在の「踊り場」は、国内の供給増と金利上昇という「下落圧力」と、円安を背景とした海外からの「上昇圧力」が拮抗している状態です。

 今後、市場全体が大きく動くかどうかは、この綱引きのバランスを左右する米ドル/円の為替レートが最も重要な鍵を握っていると言えるでしょう。

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