物価高・賃上げへの対応焦点=診療報酬改定の議論本格化

 公的医療保険が適用される医療サービスの価格「診療報酬」の2026年度の改定に向け議論が本格化する。日本医師会など医療関係団体は、物価高や賃上げに対応するため大幅なプラス改定を求めるが、財務省は、診療所の経営は堅調だとして、大幅な引き上げに難色を示す。政府が全体の改定率を決める年末まで激しい攻防が続きそうだ。
 診療報酬を巡っては、前回の24年度改定で、医師や看護師などの人件費に当たる「本体部分」は0.88%のプラスだった。医療従事者の賃上げや食費の高騰のため、22年度の0.43%を上回る伸びとなった。それでも多くの医療機関は物価高などによるコスト増で赤字経営を強いられている。
 厚生労働省の医療経済実態調査によると、一般病院の約6割が24年度に赤字に陥った。特に厳しいのは公立病院で、利益率はマイナス18.5%。医療関係団体からは「本体部分を10%以上引き上げるべきだ」といった声が上がる。報酬を賄う保険料収入が賃上げで伸びており、与党内には「本体部分を2~3%上げて医療従事者に還元することは可能」との見方もある。
 ただ、財務省は物価高対応の必要性に理解を示しつつも、大幅な引き上げには慎重な姿勢を崩さない。患者の窓口負担や現役世代の保険料負担の増加につながるからだ。医療法人経営の診療所の24年度の利益率は4.8%の黒字。同省は診療所の経営が一般病院と比べて堅調だとして、「めりはりのある改定が必要」としている。
 薬の公定価格「薬価」の改定にも注目が集まる。通常、市場実勢価格が公定価格を下回るため、差額分を引き下げ、生み出された財源は本体部分の引き上げに充てられる。しかし、薬価は21年度から毎年改定し価格差解消を図っており、厚労省幹部は「大きな財源捻出は期待できない」とみている。 

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