プロが大事にするのは感性?データ? アマチュアがデータを見るときに気をつけるべきこととは【四の五の言わず振り氣れ】

昨年でツアーから撤退した上田桃子やルーキー・六車日那乃、今年プロテストに合格した藤本愛菜、千田萌花が在籍している「チーム辻村」を率いるプロコーチの辻村明志氏が、データの重要性について教えてくれた。
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最終戦のリコーカップが開催中。コーチの目から見て、リコーカップと他の大会では少し違う練習場の風景があります。それは日本ツアーを代表する40人の選手のほとんどが、練習場に弾道測定器を持ち込んでいることです。

実はボクたちチームの本拠地である丸山ゴルフセンター(千葉県船橋市にあるゴルフ練習場)にも駐車場スペースに練習用コンテナ・『G_BASE』を設けていただきました。『あなただけのゴルフ基地』をキャッチフレーズにしたインドア練習場です。そこには最新のシミュレーションゴルフとトラックマンが設置され、選手の状態を数値によって把握できるようになりました。

ゴルフは感性か数値か? どちらも大事で、要はそのバランスであり、上手な組み合わせが大事なのではないでしょうか。距離計を利用するアマチュアの方は多いはずです。残り距離ひとつとっても、遠く感じたり、近く感じたりすることはあるでしょう。この感覚の誤差を調整してくれるのが数値であり、両者を上手に使うのが合理的。というより、プロの世界ではそうした合理性がないと生き残ってはいけません。それを象徴したのが、リコーカップの練習場の風景だとボクは思っています。

さて、ボクがトラックマンの数値で重要視するのは、(1)クラブパス(2)アタックアングル(3)フェースアングルの3つです。

(1)はインパクトにおける左右のヘッド軌道で0度がストレートで、+1度がインサイド・アウト、-1度がアウトサイド・イン。ボクたちが目指すのは限りなく0度に近いプラスのややインから入る軌道です。アマチュアなら、±2度以内のヘッド軌道を目指すと、方向性がグンと上がります。

(2)はヘッドの入射角度で、0度ならレベルブロー、マイナスがダウンブロー、プラスがアッパーブローです。こちらは9番アイアンで-3度、1Wで+2度が理想といったところでしょうか。上田桃子プロはドローヒッターなので、+1~2度のアッパー軌道でいつもボールを捉えます。1Wならなるべく±2度以内に収めてシャロー軌道に振れると厚い当たりが可能になります。そして(3)は、フェースがボールに当たったときのフェースの角度です。もちろん0度、スクエアが理想ですね。

ボクたちはプロですから、これらを理想である数値に近づけることを目標にしています。それがスイングの高い再現性と、弾道の安定につながるからです。ただ、全てのアマチュアに理想の数値を目標にしろ、といっているのではありません。むしろ毎回、数値が安定していることの方が大事で、むしろそのクセや特徴は武器にもなるので、同じ軌道で振れることを重視して練習することを心がけてください。

トラックマンなどの導入によって。厚い・薄い、つかまった・滑った……といった抽象的な言葉が、数値で認識できるようになったのです。数値はコーチと選手で共通認識できますから、互いの強い信頼関係を築いてもくれます。

それはともかく、ある一般のアマチュアの方を指導したのですが、少し軸が右に倒れてアッパーに入るクセがありました。それが弾道に大きな影響を与えていました。

そこでボクは「左のヒザでボールをつかまえておけ!」。左足の親指と人差し指の間にティペグを挟み「左の母指球で地面をつかまえろ」とアドバイスしました。前出の(2)のアタックアングルが、簡単に理想に近づくではありませんか。

ちなみにボクの言葉は、師匠である故・荒川博先生が桃子プロを指導する際、繰り返しおっしゃった言葉です。調子が悪くなるとインパクトで左足裏がめくれ、右肩が下がってすくい打ちになる桃子プロのクセを直すための指導でした。この指導が的を射たものであることを、図らずも最先端の科学が数値で教えてくれた、というわけです。

さて、ボクたちはこのシステムを、少し応用してこんなふうにも使います。それは練習を終える最後の5球を、最大ヘッドスピード、最大初速、最大飛距離で振る、というもの。精神論ではありませんが、これも荒川先生の王貞治さんへの指導に通じるものでした。

最後にトラックマンを用いた練習は、なかなかできないという読者も多いでしょう。そんな方々はボックス型のティッシュを2箱用意してください。その2つをヘッドが通る間隔に並べ、その間にボールを置きます。ボックスに当たらないよう、9番アイアンで30ヤードを繰り返し打ちます。低くて長い、真っすぐで厚い、そして再現性の高いインパクトを作る練習です。これで球が曲がる悪癖を直した上で、いかに同じ軌道で振れるようになるかを重視して、練習してみてください。
■辻村明志
つじむら・はるゆき/1975年生まれ、福岡県出身。上田桃子、六車日那乃らのコーチを務め、プロを目指すアマチュアも教えている。今季は千田萌花と藤本愛菜をプロテスト合格に導いた。読売ジャイアンツの打撃コーチとして王貞治に「一本足打法」を指導した荒川博氏に師事し、その練習法や考え方をゴルフの指導に取り入れている。元(はじめ)ビルコート所属。

※『アルバトロス・ビュー』882号より抜粋し、加筆・修正しています

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