プロ8年目の28歳、脇元華が「伊藤園レディス」で悲願のツアー初優勝を飾った。そのスイングをプロコーチの南秀樹が分析。我々が参考にしたいポイントも挙げてもらった。
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フェースローテーションが少なく、左右の体重移動も抑えられていて、その場で回転し軸がブレることもない。オーソドックスで綺麗なスイングだと思います。背が高く、スイングアークが大きいので、小細工をしなくても飛距離を出すことがます。フィジカル的なメリットを生かしたスイングです。
腰痛に悩まされているたことがスイングからも見て取れます。以前に比べ、アドレスでの背中のラインがナチュラルになり、リラックスして構えられている。また、ゆったりとしたスイングリズムも無理していないと感じさせますね。
飛距離を求めれば速く振ることが必要ですが、それでは体に負担がかかってしまう。痛みが出れば左足に体重が乗らず、回転が止まり、ミスが出やすくなります。ゆったりとしたリズムで、バランス良く振っているのが、いま出せる飛距離で安定したショットを放っているポイントです。
参考になるのが、ゆったりとしたリズム。ゴルファーには、速くシャープに振り抜き飛距離を出すタイプもいれば、アーニー・エルスに代表されるように、ゆったり大きく振って飛距離を出すタイプもいます。ゆったりリズムは体への負担が少ないので、経験豊富なゴルファーにオススメです。
ゆったり振っても飛距離を出すには、クラブの重さを感じること、ゆったり重たく振ることが理想となります。スイング中、3つのポジションでクラブの重さが感じられれば、クラブを正しく動かすことにもつながり、スイングが安定するきっかけになります。
まずはバックスイング。ヘッドが腰の高さに上がった時にクラブの重さを感じられるかどうか。重さを感じないなら、手先でクラブを上げている、または前傾が起き上がっていることが考えられます。アドレスで作った腕の三角形、前傾角のキープを確認しましょう。
2つ目はトップです。左腕でクラブの重みを感じられれば、前傾をキープしたままクラブを下ろしやすくなります。重さが感じられないなら、グリッププレシャーが強過ぎないか、左肩や左ヒジに力が入っていないか確認してください。クラブと共に左腕の重さも感じられれば、下に下ろす力が大きくなり、よりスピードを増すことができるでしょう。
最後は、ダウンスイング。手元を腰の位置に戻したときに、クラブと腕の重さが感じられていれば、クラブはオンプレーンに、体の軸もブレずに振れている証拠。あとは思い切って体を回していくだけです。切り返しでは、すぐに回転せず、一度下に力を使うことが、重さを感じるポイントです。
練習では、クラブを2本持って素振りをしてみてください。重さが感じやすく、どこに力を入れればいいか、体の使い方も分かりやすくなります。腕ではなく、お腹周りに力を入れるのもポイントです。クラブ1本でも重さを感じられるようになれば、スイングが大きく変わっていくことでしょう。
■脇元華
わきもと・はな/1997年生まれ、宮崎県出身。2018年7月に3度目のプロテストで合格。翌19年に初シードを獲得するも、翌シーズンに喪失。24年にキャリアハイとなるメルセデス・ランキング30位に入り、今季からシード復帰した。GMOインターネットグループ所属。
■解説:南秀樹
プロゴルファーである父の影響でゴルフを始め、高校卒業後にティーチングプロ資格を取得。クラブを使うことを主とする指導法が高い評価を得ている。幼少期から鈴木愛を指導するなど、ツアーで活躍する数多くのプロをサポートしている。(株)ボディスプラウト所属。
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