アイルランド代表のFWトロイ・パロット(AZ/オランダ)が、万感の思いを口にした。16日、イギリスメディア『BBC』が伝えている。
今宵、“クー・フーリン”を化現した点取り屋が、アイルランドを救った。FIFAワールドカップ26欧州予選・グループF最終節が行われ、アイルランド代表はハンガリー代表と2位の座をかけた直接対決に臨んだ。勝利が絶対条件だったなか、終盤に突入した段階で1-2とリードを許す展開に。それでも80分、FWトロイ・パロットがこの日2点目となるゴールで、同点とする。そして、ドラマは後半アディショナルタイム。ハーフウェイライン付近から、エリア内を目掛けて放り込まれたボールに対して、DFリアム・スケールズが頭で逸らすと、パロットがいち早く反応。右足で押し込んだ。振り返ると、半分を消化した時点で、1分2敗と厳しい状況だった。が、そこから怒涛の3連勝。とくに、13日のポルトガル戦で2得点、そして同試合でハットトリックを達成したパロットの大活躍が、本大会出場へのラストチャンスとなる、プレーオフ進出につながったのだ。
イギリスメディア『BBC』によると、同国代表の公式戦において、アウェイゲームでのハットトリック達成は史上初の出来事とのこと。試合後に「本当に、本当に感動している。これは喜びの涙だよ。あぁ、なんて夜だ…なんて素晴らしい夜なんだ」と万感を口にしたパロットは、「こういうことが起こるからこそ、僕らはフットボールを愛するんだ」とし、「いいか、僕は自分の故郷が大好きだから、この瞬間はとても大きな意味を持っている。家族もここにいるだろう」と感情を昂らせた。
さらに、23歳FWは「こんなにも泣いたのは初めてだよ。本当に、本当に信じられない。みんな泣いているね。ポルトガル戦の後、これが夢の実現だと言ったけど、今夜は、人生でこれ以上素晴らしい夜はないと思う。まさに、おとぎ話のようだ。こんなことは夢にも思わなかった。正直、今の気持ちを言葉で表現することはできない」と喜びを爆発させている。
また、アイルランド代表を率いるヘイミル・ハルグリムソン監督は「次の試合は、今回よりもさらに重要になる。ポルトガル戦は重要だったけど、今夜がそれ以上だったようにね。次戦はもっと重みを増し、もし勝利すればその次の試合はさらに大きな意味を持つだろう」と次なる戦いに目を向けつつも、「今こそ、自分たちがどこにいるのかを考えるべきだ。これは成長の可能性であり、このチームならこの国のフットボール、協会を助けることができる。もし、ワールドカップ出場を果たせば、状況は大きく変わるだろう。10年後、人々が振り返ったとき、『この人たちが始めたんだ、この旅を始めたのはあのチームだ』と言ってくれることを願っている」と思いを巡らせている。
ラスト2試合で5得点を挙げたパロット。アイルランドの“新たな英雄”は、プレーオフにおいてもゴールを量産できるのだろうか。さすれば、6大会ぶり4度目の本大会出場が現実味を帯びてくるだろう。
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