名古屋グランパスは12日、長谷川健太監督が今シーズン限りで退任することを発表した。
クラブ史上初の“日本人優勝指揮官”が、4年間の政権に幕を下ろす。1965年9月25日生まれの長谷川氏は現在60歳。これまでに、清水エスパルスやガンバ大阪、FC東京の監督を歴任した同氏は、2022シーズンより名古屋グランパスを率いていた。とりわけ印象深いのは、2023シーズンの前半戦と、2024シーズンのルヴァンカップ優勝だろう。前者は、後半戦の大失速で6位に終わったものの前半戦に限れば、“史上最強”と謳われた2011シーズンのチームに匹敵する好成績だった。後者は、勝負師としての手腕を振るい、見事にクラブ史上2度目となる聖杯の戴冠を果たしたのだった。また、これと同時に、アーセン・ベンゲル(天皇杯:1995年)、ジョアン・カルロス(天皇杯:1999年)、ドラガン・ストイコヴィッチ(J1リーグ:2010年)、マッシモ・フィッカデンティ(ルヴァン杯:2021年)に続く、クラブ歴代5人目の優勝指揮官かつ、史上初の日本人優勝指揮官にもなったのだ。
一方で、リーグ制覇を掲げた4年目の今シーズンは、前年の開幕3連敗を上回る、開幕6試合未勝利と2年連続でスタートダッシュに失敗。5月の6戦無敗で持ち直したかに思えたが、ふたたび夏場に負けが込むと、結局、最終盤まで残留争いから抜け出せなかった。今月8日の第36節柏レイソル戦で、他力によって“最低限”の目標を達成したが、この4年間におけるワーストシーズン(現在17位で、同政権下におけるワースト順位の11位以下が確定)となっていた。
ただ在任4年で、“健太チルドレン”が生まれたのも事実だ。これまでに、CB藤井陽也やMF森下龍矢、CB三國ケネディエブスの台頭を促してきたなか、今シーズンはGKピサノ・アレクサンドレ幸冬堀尾とDF森壮一朗がブレイク。とくにピサノは、今年7月のE-1選手権で日本代表デビューまで飾っており、辛抱強く起用するという指導方法を貫くことで、ロッソジャッロに“遺産”を残した形となっている。
シーズン終了後の退任が発表された長谷川氏は、クラブ公式サイトにてコメントを残している。
「4年間どんな時もチームへの熱い後押しありがとうございました。残り2試合、最後まで闘い抜きます」
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