賞金王戦線異状アリ? 米予選会参加で“王者不在”の可能性【現地記者コラム】

最終日が悪天候で中止になったのは残念だが、「ACNチャンピオンシップ」は大いに盛り上がりを見せた大会だった。
優勝した杉浦悠太のほか、初日首位のアマチュア・小林匠、ホストプロの片岡尚之や堀川未来夢、歴代賞金王の石川遼、今平周吾、さらには下部のコーン・フェリーツアーから米ツアー昇格を決めた平田憲聖らが入れ替わり上位をにぎわせた。プレー以外でもギャラリープラザでの各種イベントも盛況で、花火大会が行われた3日目には6000人超のギャラリーが詰めかけた。

一方で、この大会を含めて残り5試合となったにもかかわらず、盛り上がりを欠いているのが賞金王争い。理由として最も大きいのは、国内ツアーと来季の出場権を争う米ツアー予選会との日程が重なっている点だろう。

昨年は国内最終戦「日本シリーズJTカップ」の翌週に2次予選会、さらに翌週に最終予選会というスケジュールだったが、今季は1週ずれて、日本シリーズと2次予選会が同週開催となる。

来週の「ダンロップフェニックス」終了時点の賞金ランク1位は最終予選会から、同5位以内は2次予選会からの参加資格を得る。残り2試合となった段階で、賞金ランク上位が予選会参戦でごっそり抜けてしまう可能性があるのだ。最終戦でその場にいない選手の賞金王が決まるなんてことになれば、かなり寂しいシーズンの結末。そう考えると、現時点で『誰が賞金王になるのか』という話題が盛り上がらないのも無理はない。

実際にどれだけの選手が予選会挑戦を考えているのか。選手と接する機会が多いJGTO関係者はこう話す。「他のカテゴリーですでに2次からの資格を持っている小平智、河本力を含めても、現時点の賞金ランク10位以内で資格を得たら予選会に行くという選手は半数程度だと思います。過去に『米ツアー挑戦』を口にしていても、その後、トーンダウンしている選手もいますからね」。賞金ランク10位圏外では石川、杉浦、出利葉太一郎が2次からの有資格者となっている。

関係者の見立て通りなら、賞金王争いの体裁は保てそうだが、逆の意味で心変わりしている選手もいる。自ら「海外志向が強い方ではない」と予選会挑戦に積極的ではなかった片岡に改めて話を聞くと、「2次から行くつもりはないですけど、フェニックス終わりで賞金ランク1位になって最終予選会からだったら行くつもりです」。今後、実際に資格を得れば、挑戦に気持ちが傾く選手が他にも出てくるかもしれない。

今の時代、選手たちの海外志向を止める術はなく、来季以降も似たような状況は続くはず。そろそろ真剣に対策を考える必要があるだろう。国内ツアーの日程を前倒しにして、11月中にシーズンを終えてしまうのもひとつの手だ。

ドラスティックにやるなら、現状でも試合がない7月を中心に夏場をオフにするのはどうだろう。実は以前、あるJGTO関係者があくまで私見として披露してくれたプラン。シーズンは秋に開幕して翌年の初夏まで。賞金王争いと米ツアー予選会のバッティングが避けられるうえ、近年の酷暑対策にもなり一石二鳥だ。

もちろん、これらは机上の空論。実際には日程変更を迫られる大会主催者との調整などいくつもハードルがあり、実現は容易ではない。それでも、このままでは賞金王の価値自体が低下しかねない。世界に挑戦しようとする選手たちをファンや関係者が気持ちよく送り出すためにも、JGTOの思い切った施策に期待したい。(文・田中宏治)

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