<JLPGA最終プロテスト 最終日◇7日◇JFE瀬戸内海ゴルフ倶楽部 (岡山県)◇6464ヤード・パー72>
今年の最終プロテストでは、3人の“高校生プロ”が誕生した。トップ通過の伊藤愛華(埼玉栄高)をはじめ、5位の田村萌来美(ルネサンス高)、9位タイの吉﨑眞夏(マーナ、沖縄カトリック高)が見事一発合格。“高卒ルーキー”として、来年からツアーを戦う。
伊藤はジ・ユアイ(中国)と並ぶトータル15アンダーで4日間を終えたが、「67」だった最終日のスコアで勝り98期生の“首席”になることが確定。1打差の2位から出た最終日は「途中から1位を目指して回っていた。それができてよかった」と、この席を目指してラウンドを続けていた。
「一発合格を目標にしていた。周りからも勢いでいった(合格した)ほうがいいと言われていました」。プロテストトップ合格者は、11月末から行われるQTで1次が免除され、いきなりファイナルに出場できる。恩恵もしっかりと手に入れた。
神奈川県出身の田村は、合格が決まったラウンド後の心境を「まだドキドキが止まらない。うれしいしか言葉が出ないです。ずっと緊張していました」と話した。三つ編み+サイドは刈り上げ。さらに「オレンジか緑」の蛍光ソックスを履き、その色にヘアゴムの色を合わせるのが“トレードマーク”という個性派だ。ここから「みんなに愛されるプロ」を目指していく。
“親孝行”もできた。「実を言うと入会式(11月8日)の日はお母さんの誕生日。(合格を)プレゼントしたいなという気持ちでした。よかったです」。母への想いを胸に、日本女子プロゴルフ協会入会の認定証を受け取ることになる。幼少期はサッカーに熱中。「守るプレーが一番好きです」と言うが、『ゴルフは攻撃的?』と聞かれると、大きな声で「はい!」と笑う。
そして今年の「日本ジュニア」を制した吉﨑は、“圏外”の30位からスタートした最終日に「68」を出し、滑り込んだ。「得意な部分で苦戦をしていたので、本当につらい初日、2日目、3日目でした」とギリギリの戦いを強いられた。そのなかでつかんだ合格には、さらに価値は増す。
「きのう(3日目)は終わってから号泣していました。本当に思うようにいかなかったので…」というほどだが、最後は笑顔の締めくくり。目標は出身地・沖縄の先輩でもある「宮里藍さん」。これまでツアーでは本名の“眞夏”ではなく“マーナ”を登録名に出場してきた。「本当はカタカナで出たかったんですけど、今回は本名で。(プロになったらマーナに)すると思います。カタカナのほうが、皆さんに覚えていただきやすいと思うので」。こちらも多くの人に応援されるプロを目指す。
高校3年生の3人は、それぞれが励まし合いながら合格をつかみ取った。伊藤は、「さっきもマーナと一緒にハグをしてよろこんだ。萌来美も普段から仲良くて、試合前から同期になって一緒にやろうねと言ってきました」と“絆の深さ”も明かす。田村も「(刺激は)ありました。同級生みんなで通ろうという思いで励まし合いながらやっていた。同級生の子と通れたのはよかったです」と話す。その存在は大きかったようだ。
2019年のプロテストから、規定が変わり『最終プロテスト開催年度4月1日時点で満17歳以上の女子』が出場できるようになった。つまり、これにより高校3年生での出場が可能に。その年には笹生優花、山下美夢有、西郷真央が高校生で合格。のちに全員が海外メジャーを制すという“豊作”だった。
これまでの高校生の最多合格人数はコロナ禍で年2回開催された21年11月開催のプロテスト。ここでは竹田麗央、川﨑春花、尾関彩美悠、佐藤心結、小林夢果、櫻井心那の6人が“現役合格”を果たした。なお高校生のトップ通過は、今回と同じJFEで開催された23年の清本美波(当時、誉高3年)以来、2人目だった。(文・間宮輝憲)
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