<TOTOジャパンクラシック 2日目◇7日◇瀬田ゴルフコース北コース(滋賀県)◇6616ヤード・パー72>
世界は広い。ルーキーながら米ツアーで今季ドライビングディスタンス1位(284.9ヤード)に立っているジュリア・ロペス・ラミレス(スペイン)が驚弾を連発している。
竹田麗央、神谷そらと回った初日の平均ドライビングディスタンスは302ヤードで1位。計測ホールの4番では315ヤードをぶっ飛ばし、16番も289ヤードを記録して、日本が誇る2門の長距離砲を圧倒。この日は控えめの平均278ヤードで2位だったが、同組で回った桑木志帆、岡山絵里を常に50ヤード以上は置いていく圧巻の飛びだった。
出色だったのは476ヤードの13番パー5だった。グラファイトデザイン『ツアーAD VF6S』を挿したテーラーメイド『Qi35 LS』ドライバーから放たれたボールはフェアウェイに着弾。残り194ヤードをピン奥1.2メートルに乗せて、楽々とイーグルを奪取したが、2打目に握ったクラブは4番アイアンというのだから驚きだ。
「ゴルフを始めたころからコーチに『なるべく飛ばすように』と指導されて育ってきた。スイングを大きくし、ヘッドスピードを上げることを意識し、いろんな人のスイングを見て、研究もしてきた。でも、今週は少し寒くて、いつもよりは飛んでいないかもね」
飛距離アップのために注力してきたヘッドスピードは、男子プロに匹敵する48m/sを誇る。身長172センチのスリムな体。どこに規格外の飛距離を生み出すパワーがあるのかと思うが、「もちろんトレーニングもして鍛えているのよ」とニヤリと笑った。
38位から出たこの日は、1イーグル・4バーディ・2ボギー・2ダブルボギーの「72」で苦笑い。「ジェットコースターのようなアップダウンした日になった」と、トータル1アンダーの49位に後退した。ミシシッピ州立大時代の2023年には「欧州女子アマ」を制し、世界アマチュアランキング1位にもなった22歳は「もう少しアイアンショットを安定させたい。飛距離のアドバンテージを生かしたゴルフをしたい」と課題をあげた。
年間ポイントランキングは65位で、最終戦の「CMEグループ・ツアー選手権」に出場できる同60位に入るためにも大事な大会となる。「このコースは自分に合っていると思う。残り2日で上位を狙いたい」と力を込めた。
スペイン勢のツアー優勝者は6月の「マイヤーLPGAクラシック」で通算3勝目を挙げたカルロタ・シガンダ、2012年に初優勝したアサハラ・ムニョスら4人だけ。「早く優勝できるように頑張りたい」というルーキーの伸びしろは無限大。男子顔負けの飛距離にセカンドショット以降の技術が伴えば、スペインが誇る“無敵艦隊”となる可能性は十分に秘めている。(文・臼杵孝志)
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