ゴルフシューズ市場ではBOAの人気が高い。ゴルフ場のロッカーに行けば、カチカチとBOAを絞める音を聞かない日はない。しかし、トーナメント会場では断然ヒモ派が多い。さらに、そのヒモにまでこだわっている女子プロたちがいる。今シーズンの年間女王を争うメルセデス・ランキング1位の佐久間朱莉と同2位の神谷そらは、表面がボコボコとして伸び縮みする『マジックレース2.0』を使う。
今季4勝を挙げている佐久間は、今年から『マジックレース2.0』をゴルフシューズの穴に通した。「カチャカチャ(BOA)だと、ラウンド中に緩んでいってしまう気がします。このヒモだと解けにくいから、締め直す必要がないんです。あと伸びるからキュッと締まってフィット感がいい。伸びてもちゃんと戻ってくれるし、斜面でもズレないので大丈夫です」。
ゴルフは他の競技に比べると少し特殊かもしれない。朝の練習場から含めると、およそ7~8時間はずっと同じ靴を履いている。地面に踏ん張ってショットするのはほんの一瞬で、歩いている時間がほとんど。しかも毎日履かなくてはならない。それだけに、ショット時のホールド感だけでなく、歩行時のフィット感も重要になってくる。当然、途中でヒモが解けたりして、何度も結び直さなくてはならないと、ショットに集中できない。
神谷も『マジックレース2.0』を使う理由として“フィット感”を挙げる。「足の形が左右で違うのもありますし、足の厚さも場所ごとに違います。さらに日によってむ足のむくみ具合も変わる。だからBOAだと、どうしても締め付けきれない部分が出てしまう。このヒモなら自分の体調に合わせて調整できるんです」。ちなみに、神谷が使う『マジックレース2.0』は、メーカーのツインズに頼んで先っぽだけ青いカラーが施された特別仕様となっている。
ツアー1勝の小滝水音は以前はBOA搭載のゴルフシューズを好んで履いていたが、「締めるのは楽だけど、硬すぎることがあって、足が痛くなることがある」と、最近ではもっぱらヒモを締めている。「ヒモの方が動きが出やすい」と話す。他のヒモと『マジックレース2.0』との違いについては、「普通のヒモだと緩んできちゃったりする。長時間歩くときはこっちの方が楽です。緩まないし、いい感じの締め付け感がある」と表現する。
確かに、ゴルフシューズを気に入っていても、付属されているヒモが解けやすいのが難点と感じることもある。ツアー1勝の永井花奈もその一人で、「最初に付いているヒモは勝手に解けちゃうから、解けにくいヒモの方がいいなと思ってかえました」という。いくつかの種類のゴルフシューズをローテーションで履いてるが、ヒモが解けやすいゴルフシューズにだけ『マジックレース2.0』を使う。
永井はさらに「BOAだと硬すぎて足が痛くなっちゃうので、私はある程度遊びがないとダメ」とも。実はこの『マジックレース2.0』は、前足部分は伸びやすく、中足部は伸びにくい構造になっている。しっかり足を固定しながら“遊び”も共存する。通常のヒモやBOAでは実現できなかった新たなフィット感が、女子プロたちのパフォーマンスを支えている。
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