<マイナビカップ 事前情報◇29日◇ザ・クラシックゴルフ倶楽部 キング・プリンスコース(福岡県)◇6378ヤード・パー72>
“歌って踊れるアイドル”というのはよく聞くが、今週のマイナビネクストヒロインツアーには、“踊ってバーディが取れるゴルファー”が出場する。それが11月2日に23歳になる廣岡絵美理(ひろおか・えみり)。トレードマークのニコニコとした笑顔は、その場の雰囲気を明るくする。
ネクヒロ参戦の理由は「みんなが出ていたし、プロテストの準備のため。誰に聞いても『いいよ~』って言ってた」から。初めて受けた今年のプロテストは1次で敗退したが、来年を見据えて、同じ志を持った選手たちと切磋琢磨することを決めた。
頭から足の先まで明るい性格、という印象を受けるが、ここに至るまでには「挫折」も経験している。小学校2年生の時、「(アミューズメント施設ラウンドワンの)スポッチャにあって『楽しいな』と思った」というのがきっかけで、ゴルフに打ち込むようになった。そこから多くのプロを輩出している日本ウェルネス高を卒業したが、2020年に一度、クラブを置くことを決断している。世間がコロナ禍に見舞われた時期だ。「金銭的な負担」も大きく、コースから離れていた。
この期間には、他に打ち込めるものを見つけることに。それがダンスだった。「もともとゴルフのために行ってたボクササイズのスタジオで、ダンスも教えていて。『やることもないし』と思って始めました。19歳の頃でした」。ここが“踊れるゴルファー”誕生のきっかけになった。
ゴルフから離れて3年が経過した頃、アルバイトとして在籍していた居酒屋のお客さんとのゴルフの話がきっかけとなり、コースに復帰。その縁がスポンサーにつながり、昨年8月には競技ゴルフの世界に戻ることができた。今年のプロテストが初受験だったのも、こういった経緯があったから。今は「メーンはゴルフです」と、再び真剣に向き合う日々を過ごしている。
このダンスは、思わぬ副産物も与えてくれた。「始めてから距離が伸びたんです。それまで230ヤード飛ばないくらいだったけど、今は240~250ヤードくらい。体幹ですね。振りやすくなったし、(ダンス開始前と)まったく違う感覚です」。現在はそういった基礎も生かしながら、初めてコーチにも師事し、スイングなどを見直しつつ腕を磨いている。
コースで見てもらいたいところを聞くと、「とにかくスマイル」という答えが返ってくる。取材中も終始、明るい受け答えが印象的だったが、この笑顔こそが信条だ。目標とするプロ像も「魅せられるゴルファー」だ。「淡々とプレーするのではなく、魅せるプレーに挑戦したいですね」。こう言うと、その表情はさらに明るさを増す。
その“魅せるプレー”のひとつが、バーディを取った後の「ダンス…というか特技?」と言うパフォーマンス。バーディとボディ(体)をかけた“ナイスバディダンス”だ。確かに、決して“淡々とプレーする”タイプではない。「女子ゴルフ界を盛り上げられる存在になりたい」。髪の毛をはじめ、「マイカラー」というピンク色でも個性を発揮。ネクヒロから、またひとり面白い選手が現れそうだ。(文・間宮輝憲)
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