ゴルファーであれば、クラブのシャフト部分に貼られている「模倣品対策ラベル」を目にしたことがあるだろう。模倣品とは、メーカーの正規品に酷似したニセクラブのこと。日本ゴルフ用品協会(JGGA)は公式HPでこう警鐘を鳴らしている。「インターネットを中心に、ゴルフクラブをはじめゴルフ用品の模倣品(ニセモノ)が出回っています。(中略)使用中に思わぬ事故が起き、使用者本人、周囲の人や物に怪我や損害が生じる恐れもあります」。
JGGAは2012年の1月からニセモノを見分けるための模倣品対策ラベルを世に出したが、なんとこのラベルにも模倣品が出現。新たにホログラムを使用した現行のタイプを2017年から導入した。
「ホログラムを透かして見るサングラスのようなものを660円で販売させていただいており、中古品を扱うショップからのご要望も、かなり多くいただいています」(JGGA新居秀樹事務局長)。
だが気になる情報もある。「コロナ禍以降、テーラーメイド、タイトリストなど外資ブランドメーカーを中心に、ホログラムシールを貼付しない方針に転換してきております」(ゴルフパートナー執行役員/練習場本部の新井田勇二本部長)。
外資系の動きは様々だ。テーラーメイドはラベルを使用していない理由について「カーボンフェースになってから模倣品が出て来なくなっており、ラベルの必要はなくなりました」(同社広報)と説明。技術革新にニセモノメーカーがついて来られなくなったというわけだ。
ピンの場合は元々ラベル不使用派。「ピンのクラブはシリアル番号で管理しており、購入前でも確認可能です。さらに言えば、認定販売店から購入するのが、本物を手にする確実な方法となります」とその理由について説明している。
一方でキャロウェイの広報担当者は「ゴルフ用品協会発行のホログラムシール(ラベル)を貼付しております」と返答。国内メーカーにもラベル使用派は多く「ゼクシオ14」の発売を控えるダンロップも「変更なく(ラベルを)使用しております」と回答している。
しかしネットを中心に本物と見分けがつきにくい、よくできた模倣品が人気クラブを中心に数多く出展されているのも確か。「シールが貼付されていないクラブについては模倣品の精度も高くなっていることもありますし、正規品との見極めが非常に難しくなっています」と前出の新井田本部長は語る。
一方で「買取クラブの重量、バランス、長さなどの計測の義務化、模倣クラブの問合せ窓口設置や情報の集約など、模倣品が市場に出回らないように取り組んでいきます」と決意を語った。
それぞれがニセモノ排除に全力を尽くしているのは間違いないが、業界一丸となっての取り組みも必要だろう。そしてもちろん買う側にも、シリアルナンバーを確認したり、ゴルフパートナーの「中古クラブアドバイザー」など、ショップにもいる専門家などに相談する慎重さが必要だ。(取材・構成/日本ゴルフジャーナリスト協会会長・小川 朗)
◇ ◇ ◇
本物と偽物を並べたら見分けがつかないモデルも!→関連記事で【テーラー、ピン、キャロウェイ……クイズ「偽物クラブ」はどっち?】を掲載中
関連リンク
