
<アジアパシフィックアマチュアゴルフ選手権 事前情報◇21日◇エミレーツ・GC(アラブ首長国連邦)◇7289ヤード・パー72>
アジア太平洋地域No.1アマチュアを決める戦いに、日本勢は7人が出場。そのうち4人が初出場となる。優勝という名誉はもちろん、覇者には翌年の「マスターズ」と「全英オープン」への出場権が与えられる。まさに“世界への扉”がかかる大会だが、果たして、初出場の選手たちはどのような思いを胸にドバイの地へやってきたのか。
今年の「トヨタジュニアゴルフワールドカップ」で個人優勝、日本アマで2位の成績を残した長﨑大星(勇志国際高)は、「今年の一番の目標がアジアパシフィック出場」だったと語り、今大会への出場に胸を躍らせている。
もちろん、優勝した先にあるメジャーも強く意識している。「マスターズは自分が一番欲しいタイトル」と話す長﨑にとって、アマチュアとしてこの舞台を経験することには特別な意味があると考えている。
「アマチュアで経験してからプロキャリアを始めるのと、経験せずに始めるのでは全く違うと思います。まずはアマチュアでマスターズを経験することが自分の目標です」。明確な目標があるからこそ、今大会への想いは強い。
小林匠(大阪学院大)もまた、マスターズ出場を夢見る一人。まずは大会出場を決め喜びを口にした。「まさか今年僕が出られると正直思っていなかったので、出られるという連絡をいただいたときはすごくうれしかったです。初めてのアジアアマ出場なので、やっぱりちょっと緊張するところもあるんですけど、ドバイっていう初めて行く国で、少しでも上位に行けたらいいなと思ってます」。
アマチュアはもちろん、プロにとってもマスターズ出場は大きな目標の一つ。その出場を目指し小林は、ゴルフの技術だけでなく、人としての成長も重視してきた。
「そこに出る資格がある人というのは、普段の練習やゴルフだけでなく、人間的な部分も含めて優れた人だと思っていて。だから僕もゴルフだけではなく、勉強のほうも頑張ってきました。マスターズに出られるというのは、本当に大きな意味があることだと思います」。小林にとって、マスターズは“ゴルファーとして、人としての“到達点”と捉えている。
そして、片野貫一朗(エリム・クリスチャン・カレッジ)はニュージーランドからこの大会に臨む。オークランドから17時間のフライトを経てドバイ入り。英語とゴルフの両方を磨くためにニュージーランドに留学中だ。
世界アマチュアランキングに名を連ねて以来、この大会を目標にしてきた片野。「決まったときはすごくうれしかった」と語る笑顔には、努力が報われた喜びがにじむ。
自身を「飛ばし屋ではない」と評する一方で、ショートゲームに自信を持つ。全長7289ヤードと長いコース設定にも「アプローチとパターでカバーできれば」と冷静に分析する。
「優勝すればメジャー大会に出られるチャンスがあるのはすごく大きい。この大会自体も大きな舞台なので、いい経験になると思います」。
また、松山茉生(福井工大付属福井高)は、「松山英樹選手はアジアアマで勝ってマスターズに出場して、10年後にマスターズで優勝というすごいストーリーがある。自分も3選手(歴代日本人覇者)に続いて優勝できるようにしたいです」と意気込みを口にした。
それぞれが異なる思いを胸に挑むが、目指す頂は一つ。優勝、そして世界最高峰のメジャー出場だ。これまで松山英樹(2010・2011年)、金谷拓実(2018年)、中島啓太(2021年)がタイトルを獲得し、メジャーへの扉をこじ開けてきた。今、彼らの背中を追う新たな世代が、灼熱のドバイで熱き戦いを繰り広げようとしている。(文・齊藤啓介)