「伸びしろがたくさんある」“パット開眼”で渋野日向子が国内初の首位発進

<富士通レディース 初日◇17日◇東急セブンハンドレッドクラブ(千葉県)◇6697ヤード・パー72>

これまでの不調がウソのように、グリーン上のプレーが冴えわたった。3メートルのチャンスから、8メートルのロングパットまで、面白いように決まる。「これをしっかり続けることができれば、いい方向にいくんじゃないかな。やり切りたいと思える結果でした」。渋野日向子は6アンダーの好スコアで、日本ツアーで自身初となる単独首位発進を決めた。
1番から8メートル、さらに2番でも7メートルのバーディパットが決まった。この日のパット数は25回。しかも“ただ決まったから、よし”というわけではない。「切れそうだけど入ってくれたのもあったし、弱いかもというのが思ったより転がってくれたりした。いい転がりをしてる証拠だなというのは回りながら感じていました」。内容も伴ったからこそ、深くうなずける。

初日を3アンダーで滑り出しながら、2日目に「75」を叩いて予選落ちした先週の敗因も、“あと一筋”が決まらないパッティングだった。それは米国でも続いていた現象。「私は『パターからリズムを作る人』だとずっと言われてきた。それを感じた一日でした」。迷いなく、自信を持って打てた。それがうれしい。

今週の火曜日に、「これまで感覚頼りだったパターの勉強に」と福岡県にあるパッティングスタジオを訪れた。データなどを駆使し「科学的」に自分のパッティングスタイルを分析し、課題をあぶり出したのが、この好転のきっかけだ。時間にして3時間ほどの体験。その効果を問われると「予想以上…」とポツリ。「もっと早く行けば良かったし、もっと早く知っておくべきだった」とまで言わせるほどの変化になった。

パターが落ち着けば、自然と他のプレーにも集中ができる。6番ではグリーン左手前ラフから30ヤードほど先のピンを狙ったアプローチが、直接、決まった。高く打ち上げられた球は着弾すると、まさにカップに吸い込まれるという表現がピッタリな一打に。ギャラリーも大盛り上がりする、見事なプレーだった。

「今までは5メートルのバーディパットがチャンスと思えなかったけど、きょうの感じだったら思える。こういう見本みたいなゴルフができたから、あまり良くはないかもしれないけど、ショットに対して許せる範囲が広がりました」とも話す。グリーン上の落ち着きは、他のプレーにも相乗効果として伝播した。気持ちの余裕が違ってくる。

米ツアーでは22年の「AIG女子オープン」(全英)、23年の「フリードグループ・スコティッシュ女子オープン」と2度の単独首位発進があるが、意外にも国内ではこれが初。「自分でもビックリ! ひさしぶりでどうしたらいいか分からない」と言っておどけた。ただ、その後には「まだ一日だし、あしたはどうなるか分からない。チャンスはつかみたい」と気を引き締めることも忘れない。

きょうのゴルフを振り返り、「伸びしろがたくさんある」という手応えも感じ取った。暗かった道中に、スッと一筋の光が差し込む。「何を気をつければ、何を気にしながらやればいいかが分からない。モジモジしながらやっていた」のがこれまでなら、「信じたところに打てた。迷いながら打つことはなかった」というのがきょう。パター巧者で“強気のパッティング”が代名詞だった“あの頃”を彷彿とさせる初日だった。(文・間宮輝憲)

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