
<BMW女子選手権 初日◇16日◇パインビーチGL(韓国)◇6785ヤード・パー72>
最終18番のティに立ったとき、勝みなみはあることに気が付いてしまった。「きょうフェアウェイ外していないかも…」。“幻の首位発進”となった「ウォルマートNWアーカンソー選手権」では最後の最後にラフに入れ、FWキープ100%は達成ならず。「ショックすぎた」3週間前の出来事も頭をよぎり、緊張で少しだけ手も震え始めた。
「きょうはショットが安定していた。体もすごく回っていたし、タイミングもよかったから、大丈夫だろうと思って振りました」。この一打はフェアウェイをヒットし、フェアウェイキープ率100%を記録。「一回もない。ゴルフ人生で初めて」という“快挙”を達成し、満面の笑みだった。
コロナ禍で統合された2020-21年の日本ツアーでは、ドライビングディスタンスで全体2位(254.31ヤード)。昨年の米ツアーでは笹生優花に続き、日本勢2番手(262.81ヤード)につけていた。屈指の飛ばし屋として知られ、距離を稼いで短いクラブで攻めるタイプとも言えたが、最近はその飛距離がやや落ちている。だが、これは退化ではなく、進化だ。
「いまやりたい動きが、ヘッドスピードが上がらないスイング。これまでは体全体で打っていた。体が先に、先にで回っていたから、逆に手が追いついていなかった。だから、いまが一番いいタイミングなのかもしれないですね。前が飛びすぎていた。体の調子もいいし、すごくいい感じに回れている」
いま意識しているのはボールをしっかり見ること。「20ヤードくらい」飛距離が落ちたが、動きも、球も、自らコントロールできている。このスイングを体に染み込ませながら、「トレーニングの方法で下半身を攻めてもいいかも。そこはトレーナーさんと相談したい」と今後のレベルアップを目論む。
最終18番ではフェアウェイからガードバンカーに入れたが、80センチに寄せてパーをセーブ。終盤16番、17番の連続バーディもあり、4バーディ・ボギーなしの「68」をマークした。首位とは6打差がつくが、3週連続の優勝争いに向けて、22位タイで滑り出した。
先週は世界ランク1位のジーノ・ティティクル(タイ)とのプレーオフの末、惜敗した。「ああいう経験は必要だと思うけど、あまり多くはやりたくない。もっと強くなりたい。モチベーションは上がりました」。先週は2日目に日米ベストの「61」をマーク。今週もビッグスコアをたたき出し、上位に食い込んで週末を迎えたい。(文・笠井あかり)