
<日本オープン 初日◇16日◇日光カンツリー倶楽部(栃木県)◇7238ヤード・パー70>
プロ転向3年目の23歳・岡田晃平は2バーディ・1ボギーの「69」で回り、首位と2打差の1アンダー・暫定3位タイ。史上3人目の快挙に向けて好発進を見せた。
アウトスタートの岡田は、1番パー4で右ラフから155ヤードの2打目を9番アイアンで6メートルにつけてバーディ。その後はしっかりとパーを並べて、15番パー4では2つ目のバーディを奪った。18番はティショットを右の林に曲げて2打目を木に当てるなどミスもあったが、4打目のグリーン奥からのアプローチを50センチに寄せてボギーセーブ。アンダーパーをキープして初日を終えた。
300ヤード超の飛距離が魅力の岡田は、今大会も積極的にドライバーを握っている。「きょうフェアウェイをキープしたのは2、3回」と日本オープン恒例の100ミリ以上の深いラフにつかまりまくったが、練習ラウンドの“特打”が奏功した。
オープンウィークだった先週から練習ラウンドを開始して、きのうまでに3ラウンドを消化した。「日本オープン特有の長いラフに慣れることから始めました」。ティショットがフェアウェイにいっても、毎ホールあえてラフから2打目を打つ。グリーンに乗ってもパット練習はせずに、ラフからアプローチ練習に時間を費やした。コースの隅々まで調査し、ラフが深いゾーン、浅いゾーンなどの情報収集も行った。
「ラフといってもいろんなラフがあって、場所によって長さが違う。たくさん打って、『このライならこうなる』というのを叩きこみました」。あらゆるラフからの感覚を体に染み込ませたことで、この日は“想定外”のミスをすることはなかった。
「きょうは運が良かった部分もあります。比較的に深いラフには入らなくて、中くらいから短めのラフでした。(ラフの)情報を集めたおかげで楽に回れています」とうなずく。
プロとして今大会に出場するのは初めてだが、アマチュア時代に3度出場して、いずれも予選通過。23年大会は初日に首位タイ発進を決めてローアマ(18位)を獲得するなど、大舞台での強さを感じさせる。「人より練習ラウンドに熱量を使うことを意識している。それが結果につながっているのかも」と難しいコースほど準備を大切にする。
22年の「日本アマ」を制覇し、23年末にプロ転向。ツアー1年目の昨年は賞金ランキング50位で初シードを獲得した。今季はトップ5入り4回と初優勝に最も近い選手の一人だ。
今大会への思いはもちろん強い。「優勝したらマスターズに出場できる。この大会で優勝するためにシーズンを送ってきた、と言えるぐらい懸けています」。8月末に海外メジャー「マスターズ」の出場資格の変更が発表され、日本オープン優勝者にも出場資格が付与されるようになった。ナショナルオープンという位置づけだけでなく、夢の舞台につながったことでより意欲が高まった。
日本アマ、日本オープンの2冠達成者は、赤星六郎、中嶋常幸、キム・キョンテ(韓国)の3人のみ。このうち、日本オープンのローアマを獲得しているのは赤星と中嶋の二人だけ。岡田には史上3人目の記録がかかっている。
「あす以降、難しい時も来ると思うのでキャディと最善の選択をしていけたら、おのずといいスコアは出ると思います。マスターズに行きたいですが、まずは目の前のことをきっちりこなしたい」。悲願のツアー初優勝の先に夢舞台の切符、歴史的な快挙が待っている。(文・小高拓)