
米ツアーに参戦していた2005年頃からドライバーイップスを発症し、約19年間苦しんでいた田中秀道。それが昨年から復調の兆しを見せている。そのきっかけとなったのは、シャフトがグニャグニャとしなるツアープロには軟らかすぎるクラブだった。
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20年近くスイングをチェンジできないままでいたんですけど、シャフトのしなりを使えばいいんだと気付いたのは昨年の4月。おじいさんが使うようなグニャグニャのクラブを借りて練習場で打ってみたら、ドローで返ってくるんです。
ずっとハードスペックのまま何かをしようと思っても、全然追いつかなかった。本当に運動会で転ぶお父さん状態が続き過ぎて、頭は前に行くんだけど、足は空回りしてこけてばっかり。
グニャグニャのクラブはホースを振っているイメージ。ムチのしなり戻りを感じながら、ポンと打ったら、何も頑張らなくて球がシュッと出て行った。しかも右に出してドローで戻ってきた。そこで初めてアイアンからサンドウェッジまでシャフトをスチールからカーボンにしました。表記はSでもRに近いくらいのシャフトです。
プロアマなどで一緒に回るアマチュアを見ていると、ハードスペックなクラブをしゃかりきに振る人が多い。そんな人は一度、グニャグニャのシャフトを打ってみるといいでしょう。「タイミングが取れない」という人は〝手打ち〞。おそらくどのクラブを持ってもタイミングが取れないと思います。
野球の大谷翔平さんだってボールより先に踏み込んで体が突っ込んだらミスヒットをしてしまう。目標方向からコロがってきたボールを待って、しなりを感じながら腰でリズムを取って打ち返すイメージを持つとドロー回転をイメージしやすい。そして、軟らかいシャフトを何球か打った後に自分のクラブを持つと、力が抜けて球筋が安定するはずです。
■田中秀道
たなか・ひでみち/1971年生まれ、広島県出身。2001年までに「日本オープン」を含む日本ツアー10勝を挙げ、02年から米ツアー参戦。05年頃に「切り返しでクラブが消える」ドライバーイップスを発症し、約19年間苦しんだ。昨年から復調の兆しを見せている。信和ゴルフ・ゴールデンバレーゴルフ倶楽部所属。
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