
<ANAオープン 3日目◇20日◇札幌ゴルフ倶楽部 輪厚コース(北海道)◇7066ヤード・パー72>
風速6m/s以上の強風が吹いた初日の午後。26歳の清水大成は風をものともせず「65」をマークして、2位に2打差の単独首位で飛び出した。
しかし、2日目は「75」と3つ落として急降下。この日は6バーディ・1ボギーの「67」で回り、26位タイから12位タイに戻してきた。
最終18番パー4は120ヤードから1.5メートルにつけて、「カップ左のフチを外すぐらい」と短い距離でも十分切れるラインを読み切ってバーディ締め。「(トータル)12(アンダー)が目標だったので。あと3つ、4つは伸ばせそうでしたが、グリーンが読み切れませんでした」と目標に届かずも、首位と7打差は首の皮一枚残ったといったところ。
突然のショットの乱れだった。首位から出た2日目は「ティショットが悲惨で、林やラフばっかり。バーディチャンスにつけられず、ゴルフになりませんでした」。フェアウェイを捉えたのはわずか2回。フェアウェイキープ率は初日に5位タイ(78.571%)→2日目は118位タイ(14.286%)とデータが物語っている。
「力が入ったわけでもないし、スイングも大きく変わった感じはなかったんですけど」とラウンド後には道具を含めて課題を探った。少しのアドレスのズレと、テークバックで少し上体が伸びあがる点を修正。また、長く使ったエースドライバーも変更してこの日は臨んだ。
平均飛距離300ヤード超えを誇るスケールの大きなゴルフを武器に、昨季は未勝利ながら賞金ランキング8位と存在感を示した。今季は5月の「日本プロ」でプレーオフの末、ツアー初優勝を遂げる。しかし、その後は9試合中4試合で予選落ち。最高成績は11位タイと結果を残せなかった。
「飛距離を伸ばしたくて」。来年の米ツアー挑戦を目標としているため、今よりも「10ヤードでも15ヤードでも」と飛距離アップを計画した。1試合だけドライバーのシャフトを1インチ長くしたり、持ち球のフェードよりも飛距離の出るドローボールにも取り組んだ。しかし、「ドローを打とうとして手打ちになっていた」と精度を欠く試合が多かった。
内藤雄士コーチとの取り組みで手先を使わずに「アドレスの向きを変えるだけ」でドローとフェードを打ち分ける形を作り、ショットが上向いた。それだけに2日目のスコアは不思議に映る。
現在の賞金ランキングは11位。2週後の「バンテリン東海クラシック」終了時点で同7位に入れば、10月に日本で開催される米ツアー「ベイカレントクラシック」に出場できる。また「ダンロップフェニックス」終了時の賞金ランキング1位は米ツアー最終予選会から受験でき、2位から5位は同2次から出場できる。米国進出の足掛かりとするためにも、とにかく結果を求める。
今大会のコースレコードは、2015年大会に記録した小田孔明の「61」。首位との7打差を埋めるためには、「コースレコードに近いスコアは出したいですね」。ランキングを少しでも上げるためにも、上を見るだけの最終日は初日のような他を圧倒するプレーが求められる。成長著しい26歳は「あしたもショット次第。がんばります」と力を込めた。(文・小高拓)