2度の手術を乗り越えた植竹希望 2年ぶり予選通過に涙「ゴルフをやめなくて良かった」

<住友生命Vitalityレディス 東海クラシック 2日目◇20日◇新南愛知カントリークラブ 美浜コース(愛知県)◇6600ヤード・パー72>

61位から出たツアー通算1勝の植竹希望が7バーディ・1ボギーの「66」で回り、トータル5アンダーの13位に順位を上げた。2023年10月の「スタンレーレディス」以来、実におよそ2年ぶりとなる予選通過。2度のケガから復帰したプロ9年目は「ゴルフをやめなくて良かったと思います」と目に涙をにじませて喜んだ。
数年前から椅子に長時間座ることが困難になり、ヘルニアと診断された。昨年1月に改めて検査を受けると、股関節のふちにある軟骨が損傷する「右股関節唇損傷(みぎこかんせつしんそんしょう)」と診断され、同年4月の「KKT杯バンテリンレディス」後に内視鏡手術を受けた。「長くゴルフをやるために」という決断だった。

長期離脱も覚悟した手術だったが、同年9月に下部のステップ・アップ・ツアーで復帰。リハビリやトレーニングを懸命に行い、完治に近い状態まで戻ってきた今年1月、2度目の試練が訪れた。トレーニング中に転倒して反射的に右手をついたときに、手首を痛めた。病院での診断結果は「舟状骨骨折(しゅうじょうこつこっせつ)」。再び手術を受け、今も手首にはボルトが入っている。

「あのころがホントにきつかった。またか…っていう気持ちで、落ち込んでいました」

再びリハビリの日々。クラブ契約を結ぶヤマハのホステスプロとして4月の「ヤマハレディース葛城」には“突貫工事”で間に合わせた。「なんとかギリギリで。無理くり骨をくっつけて出ました」。結果はトータル9オーバーで予選落ち。そこから本格的な練習にも取り組み、ステップ・アップ・ツアーにも出場したが、予選落ちの連続。「7月くらいまでは痛みが引かず、『こんなにゴルフにならないなら、試合に出ても仕方ないかな』とも考えた」と心は折れかけていた。

状態が上向いてきたのは8月あたりから。股関節は完治し、右手首の痛みもなくなった。「やっと体も落ち着いてきて、気持ちもすごくすっきりした。トレーニングの成果も少しずつ出てくるようになりました」。

心の支えとなったベテランプロもいた。6月の「アース・モンダミンカップ」の主催者推薦選考会(マンデートーナメント)でたび重なる故障、ケガを克服してきた大山志保と同組になった。48歳となった今もレギュラーツアーにこだわり、復活を目指す大先輩に熱い言葉をもらった。

「私がまだやっているんだから、やめちゃダメだよ」

当日の大山は体調が悪かったというが、ケガに苦しむ後輩に気持ちを奮い立たせた。「『希望ちゃんと一緒なんだから、やるしかないじゃん』と言ってもらって、本当にうれしかった。いろいろお話しさせていただき、連絡先も交換したんです」。思い切りクラブを振って、ゴルフができる喜びも感じながら臨む最終日。「今できることを、やり切るだけ。それだけです」。晴れやかな表情の27歳は、再び「ゴルフをやめなくて良かった」とつぶやいた。(文・臼杵孝志)

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