
<Norton Next Generation Tournament 最終日(一日競技)◇17日◇富士桜カントリー俱楽部(山梨県)◇6193ヤード・パー72>
はっきりと富士山が望めた夕暮れ時のコース。24歳の郡山瞳は苦楽をともにする仲間たちからの豪快なウォーターシャワーで、マイナビネクストヒロインツアー初優勝を祝福された。「すごく、うれしかったです。(ウォーターシャワーは)憧れでした」。笑顔で歓喜の時を振り返る。
今回の舞台になったのは、2週前に男子ツアーの「ロピア フジサンケイクラシック」が行われたコース。ラフなどもほぼその時のままで、もともと男子でも手を焼く難関として知られる。「ラフは深かったです。まずはそこに入れないマネジメントを心がけました。もし入ってもしっかりパーオンをしようって。変な場所に飛ばさないよう意識して」。フェアウェイキープ数は9回ながら、パーオンは16ホールで成功。一歩一歩、着実に優勝へと進んでいった。
出場48人中、アンダーパーは12人。「気づいたら(優勝したスコアの)5アンダーという感じでした。“もう1個(取りたい)”みたいな気持ちもなく、目の前の一打に集中できたのが良かった」。耐えながら奪った6つのバーディの価値は大きい。
2001年8月31日生まれで、出身は宮城県。地元の名門・東北福祉大を出て、プロテスト合格を目指している。そしてこの日、し烈な優勝争いを繰り広げたライバルのひとりは、大学の同期でもある園田結莉亜(ゆりあ)だった。「ずっと(認識は)していました。一緒に頑張っているという気持ちで回っていましたね」。最後に祝福したのも主に東北福祉大出身の仲間たち。惜敗して悔しいはずの園田もそこで大盛り上がりだったのは印象的だった。「祝ってくれる仲間がいるのは、すごいうれしいですね」。みんなで歩んでいるテスト合格への道だ。
平均飛距離は「265ヤード」という生粋の飛ばし屋。仲間たちからは「320ヤードくらい飛んでない?」という冗談も飛んでくるほどのパワーが魅力だ。ただ本人は、「嫌になる時もあります」と話す。こだわりがある…というわけでもなく、「飛ばすだけになってしまうと、武器ではあるけど凶器になることもある。もっと小技に磨きをかけたい」という思いを胸に、腕を磨く日々を過ごしている。
1年半ほど前からは、長年、上田桃子らを指導してきた辻村明志氏から指導を受けている。ここ1年ほどかけて取り組んできたのが「スイング改造」で、これも安定性を求めて向き合っているものだ。指導を受け始めた直後には左手首と、左足首を故障。昨年のプロテストもようやく間に合ったほどで、今も「完治はしてない。いっぱい打つと痛くなる」という古傷だが、それとも付き合いながら、さらなる進化を求めている。
「ひさしぶりの優勝。去年も今年も勝っていなかったので」と、しみじみ。その喜びの味を、しっかりとかみしめた。今大会前に手にした最後の優勝は、大学4年生の頃までさかのぼらなければならない。
先週のプロテスト第2次予選・B地区(千葉・ゴルフ倶楽部成田ハイツリー)に出場したが、通過まで2打及ばず終わってしまった。「今年はプロにはなれないけど、来年に向けてやっていくしかない。マイナビさんの試合(ネクヒロ)でたくさん優勝して、自信をつけてオフを迎えられたら」。今季のネクヒロは残り8試合。この勝利でポイントランキングも4位まで浮上した。“悔しさ”も“喜び”もすべてを糧に、仲間たちとともに目の前にそびえている高い山を着実に登り続けていく。(文・間宮輝憲)