シード復帰確定! 永井花奈はアイアンの“3モデルコンボセット”で覚醒中

プロ10年目でツアー通算1勝の永井花奈は、8月の「CAT Ladies」の2位タイを皮切りに、「ニトリレディス」4位タイ、「ゴルフ5レディス」3位と自身初の3週連続トップ5入りと好調を続けている。その要因として「クラブの不安がなくなった」ことが大きい。キャディバッグを覗くとアイアンは3つのモデルをコンボして構成するなど、こだわりの組み合わせになっている。
◇ ◇ ◇

不安なきセッティングの始まりは6月。5~6年使用するタイトリスト製の3・4・5番のユーティリティをヤマハの未発表モデル『RMX DD』と書かれたユーティリティに変更した。ヤマハと言えば飛び系のイメージが強いが、「新しいモデルは球が強すぎず上に飛んでくれて、スピンが入る」と点で狙えるユーティリティとしてスタメンに加わった。

そして3番ウッドと5番ウッドをキャロウェイ『エリート チタニウム』にし、ウェッジのロフト角を52度から54度に変更。「58度が70ヤードちょい、52度が90ヤードちょいで、その上の48度が105ヤードとか。80ヤードぐらいが残るとうまく寄せられなかったので54度にしました」とその意図を話す。

54度で得たものはフルショットの80ヤードだけではない。「距離のあるバンカーが苦手だったんですけど、54度を使うと楽になりました。またグリーンが重い時は上りのラインとか、58度でがんばらないといけないのですが、54度でサラッと打つだけでコロがってくれるから使いやすくなりました」とグリーン周りでも活躍の場が増えた。

そして前週は、5番ユーティリティをヤマハの新モデル『RMX DD-2』と書かれた6番アイアンにチェンジ。もともとは6番アイアンが上がりにくいからユーティリティに替えていたはずだが……。

「6番アイアンはしっかり上から入れて振り抜かないと上がらないのですが、新しいアイアンはがんばらなくても高さは出るのが大きいです。飛距離も出ます。なにより曲げたいショットのときに、狙い通りの曲がり幅が打てるんです」。つかまりやすい5番ユーティリティは、優勝争いなど緊張した場面で、曲がらずに真っすぐ飛びがちだったが、飛ぶ6番アイアンにしたことで、コントロール性も格段に上がったという。

6番より下のアイアンは一見分かりにくいが、2つのモデルをコンボで使用している。7番と8番はツアー系ディスタンスアイアンの『RMX VD/M』、9番とPWはツアー系アイアンの『RMX VD/R』。『VD/X』の後継で飛び系と思われる6番を含めるとアイアンは3モデルのコンボになる。男子プロと比べるとアイアンの本数が少ない女子プロとしては珍しい構成である。

そもそもコンボにした理由を聞いてみた。「PWと9番は、距離を落としたいときにちゃんと落ちてくれるコントロール性の高いモデル。7番はしっかり球を上げるのはパワーが必要ですし、どうしても起こるミスヒットをしたときに余計に上がらなくなる。薄く当たったときに飛距離をカバーしてくれるやさしさを求めています」。永井が求める番手ごとの用途によってモデルを変えている。

さらに、「2つのモデルは構えたときに同じように見える形にしてほしいと要望しました。トップラインが薄めのRシリーズとMシリーズが同じような見た目です。見た目は同じなのに求めてるやさしさを出してくれているところが大きいです」と、モデルが違っても違和感なく構えられる“顔”にこだわってる。

ちなみにパターは、「CAT Ladies」から、2017年発売モデルのテーラーメイドの『スパイダー ツアーレッド』を使用している。かつて一世風靡したモデルだが、永井も8年ほど家に眠っていたモノを持ってきた。「インサートがいいんです。最近のインサートは直進性が強く思ったよりコロがってしまいます。上りとかはいいのですが、曲がるラインは自分のイメージ以上にコロがってしまう傾向にありました。スパイダーのインサートは自分のイメージ通りにコロがってくれるのがいいんです」。『ピュアロール』という黒いインサートが永井のフィーリングにピッタリのようだ。

2017年の「樋口久子 三菱電機レディス」以来、優勝から遠ざかっている。昨季はシード落ちの憂き目にあったが、今季はすでに昨年のボーダーラインを突破している。「シードが決まったので、あとは上にいくだけ。シードを気にしながら試合するのと、上を目指すのとでは気持ちが全然違いますから」。不安のなくなったセッティングでシード復帰を確定させ、残るは8年ぶりの優勝だ。

【永井花奈のセッティング】
1W:ヤマハ RMX VD/M(9.5度、LINQ RED EX 5-R/45.25インチ)
3W:キャロウェイ エリート チタニウム(15・18度、LINQ BLUE EX 5-R)
3・4U:ヤマハ RMX DD(19・22度、テンセイ 1K HY70 R)
6I:ヤマハ RMX DD-2(アッタス FF75 S)
7・8I:ヤマハ RMX VD/M(アッタス FF75 R)
9I・PW:ヤマハ RMX VD/R(アッタス FF75 R)
48・54・58度:ボーケイ SM10(NS.PRO 850GH R)
PT:テーラーメイド スパイダー ツアーレッド
BALL:タイトリスト プロV1

◇ ◇ ◇

人気シャフトの傾向を調査。関連記事【飛ばない原因はヘッドでなくシャフト? 最新ドライバーシャフト32本を徹底分類!】では、その秘密をさらに詳しく解説しています。

externallink関連リンク

【写真】永井使用の『LINQ RED EX 5-R』の5Sの剛性分布を公開 飛ばない原因はヘッドでなくシャフト? 最新ドライバーシャフト32本を徹底分類! 悩みを消してくれる“運命”のドライバーシャフトが見つかるYES・NOチャート テーラー、ピン、キャロウェイ……クイズ「偽物クラブ」はどっち? 青木香奈子が髪をほどいたらこうなる【女子プロ写真】
externallinkコメント一覧

コメントを残す

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)