
2025年8月に先行公開されて話題となっている4代目となる日産「ルークス」ですが、実はルークスはスズキの“一代限りで消えた”軽のOEM版としてスタートを切ったモデルでした。
思わぬ先行を許したスズキの対抗作「パレット」
2025年8月に新型が公開された軽スーパーハイトワゴンの日産「ルークス」。現在は三菱と日産の合弁で開発されているクルマですが、実は、ルークスの初代モデルはスズキの「パレット」というクルマのOEM版という成り立ちでした。
パレットは、スズキ初の軽スーパーハイトワゴンとして2008年にデビューしたモデルです。当時の軽自動車市場では、2003年発売のダイハツ「タント」がヒットを記録し、軽スーパーハイトワゴンという新たなジャンルを切り拓こうとしていました。
スズキは「ワゴンR」などをヒットさせてきましたが、それよりも背の高い、いまでいう軽スーパーハイトワゴンのジャンルでは、徹底的にスペース効率を追及したタントに先行を許しました。さらにタントは2007年にフルモデルチェンジし、片側ピラーレスボディの「ミラクルオープンドア」を採用。軽の市場シェアで、王座に君臨していたワゴンRへと肉薄していきました。
そんな危機的な状況を打開するべく登場したパレットは、タント並みに背が高く、2400mmの長いホイールベースと低床設計を持つ新プラットフォームを採用。27インチサイズのタイヤを持つ一般的な自転車も積載できる、広大な室内空間を実現しました。
またパレットは両側スライドドアを採用し、タントに正面から勝負を挑みました。さらに2009年のマイナーチェンジでは、若者を意識したシャープなフロントマスクを持つ「パレットSW」を追加。あわせて、日産とジヤトコが共同開発した市販車世界初の「副変速機構付CVT」を採用し、燃費を向上させました。
そして、同年12月からは日産自動車へのOEM供給も開始。日産での車種名として、新たに「ルークス」のネーミングが与えられたのです。
「昨日の友は明日の敵」?
ところが、パレット/ルークスの人気はいまひとつ伸び悩み、タントの牙城を崩すには至りませんでした。パレットはタントと比べると、キャビンは乗用車的に絞られており、通常モデルのフェイスも比較的押しの弱い、きわめてシンプルものでした。
パレットとルークスの不振は、こうした良くも悪くも「ワゴンRの発展版」的なキャラクターが裏目に出たものと考えられます。
追い打ちをかけるように、2011年にはホンダから初代「N-BOX」が発売。N-BOXはタントすらも圧倒する爆発的ヒット作となり、パレット/ルークスはますます埋没していきました。スズキは2013年、パレットの後継としてプラットフォームを全面刷新した「スペーシア」を発売し、再出発を図ることに。パレットは、スズキのなかでは比較的珍しい1代限りのモデルとなりました。
一方、日産は2011年に三菱との合弁会社「NMKV」を設立し、軽自動車の開発を三菱とともに進めていくことを決定しました。初代ルークスはこれに伴って2013年に販売を終了。同年には軽ハイトワゴンの日産「デイズ」と三菱「eKワゴン」が、翌2014年にはルークスの2代目となる「デイズルークス」(三菱版は「eKスペース」)がそれぞれ登場しました。
こうして袂を分かったパレット(スペーシア)とルークスですが、2025年後半には日産の新型ルークス、三菱の新型eKスペース/デリカミニが発売となる見通しです。N-BOXに肉薄する人気を獲得しているスズキ「スペーシア」へ、日産&三菱がライバルとなって攻勢をかけることとなります。