
ツアーを1年間戦うというのは体力的にも大変なことだ。頭では理解しているつもりだが、ゴルフではコートを走り回ったり、他の選手と激しく接触することがないため、そのことを忘れそうになる。ツアー生活がいかにハードか、先週の国内女子ツアー「CAT Ladies」はそんなことを思い出させてくれる会話が何度かあった。
練習日、ルーキーの中村心が開幕時から体重が大幅に減ったという話を聞いた。「1~2カ月前が一番減っていて、そこから1キロ戻して、今は4キロ減です」。
ラウンド中に何かを食べるのが苦手なようで、「ハーフターンで休憩があれば、おにぎりを食べたりするんですけど、休憩がないと忘れてしまったり、昼食抜きになってしまうんです」。今のところ、飛距離など、プレーへの影響は感じていないというが、朝夕の食事量を増やし、改善に努めている。
これはツアー生活に慣れないルーキーだけの話ではない。プロ4年目の藤田かれんは、現在開幕時から3キロ減だという。「最大で6キロ減った年もあったので今年はまだ余裕がある方です。オフは少なくとも週3回、シーズン中も週に2回のトレーニングをすることで、体重が落ちにくくなったと思います」。近年の猛暑の影響もありそうだが、藤田の場合はシーズン終了まで徐々に体重が落ちていくのだという。
一方、今年は体重減を克服できているというのがプロ10年目の小野祐夢だ。過去には最大で5キロ落ちたシーズンがあったが、現在は開幕時の体重をキープしている。
「5キロも落ちるとアイアンで1番手、1Wはそれ以上に飛距離が落ちるし、下半身が疲れやすくなりますね」
今年はとにかく食事の量を増やすことを意識。「レストランでは必ず大盛りを頼んでます。最初は食べるのが辛かったけど、もう慣れました」。ちなみにラウンド中は以前からバナナやおにぎりを積極的に食べるタイプ。「トップでお腹が鳴ったら自分で笑っちゃうじゃないですか」と笑顔でその理由を明かしてくれた。
もちろん、体重が落ちることはないという選手もいる。新垣比菜は「私の場合、暑くて食欲が落ちるということがないので、ルーキーのころから体重が落ちて困ったという経験はありません」と断言。また、2年目の清本美波は「私、めっちゃ食べるんで、どちらかといえば、コントロールしてるぐらい。ラウンド中もれんこんチップスとか、ゼリーとか、甘いものとしょっぱいものを交互にずっと食べています」。とはいえ、体重という形で表れていないだけで、1年間ツアーを回る厳しさは彼女たちにとっても同じだろう。
今年も残暑は厳しいようで、気象庁は「暦の上では秋でも熱中症予防を続けて」と呼び掛けているほど。コンディションの維持は大変だろうが、選手たちには持てる力を発揮できる状態で、まだまだ続くこれからのシーズンを乗り切ってもらいたい。(文・田中宏治)