
<CAT Ladies 初日◇22日◇大箱根カントリークラブ(神奈川県)◇6652ヤード・パー72>
トップ10では喜べない。元女王・鈴木愛が優勝だけをターゲットに好スタートを切った。ツアーきってのパット巧者が「ここ2~3カ月はパターの調子がいい」と言う通り、5番は7メートル、6番は10メートルとロングパットをねじ込みバーディラッシュ。通算21勝目へ、さらにギアを上げていく。
「特に何がいいというのはなかったんですけど、全体的にバランスが良かったと思います」。鈴木は初日のラウンドをこう振り返った。パッティングの好調に加えて、ここ数試合は「ショットもいい感じで打てています」。直近3試合でトップ10が2回と言葉通りの結果もついてきている。
とはいえ、実績十分の鈴木にとっては満足のいく結果ではない。「性格的にも負けず嫌いなところがあるので、トップ10に入ってもうれしくないというか、常に優勝しか目指していない。納得いく試合というのはないですね」
一方で、安定して上位でプレーすることが目標の優勝につながることは誰よりも知っている。「予選落ちもせず来れているし、平均ストロークも、平均パット数も上位にいるので、1週間にまとまって噛み合えば、優勝できるところまで来ていると思います」と続けた。
好調が続いているパッティングは前日のプロアマを回っている時点では決して良くはなかった。「昨日はイマイチだったんですけど、終わった後の練習で修正して、今はいい状態に戻りました」。この修正力も長年トップを走ってきた選手ならではだろう。
「毎日3アンダーで回れば優勝争いができるかもしれない」。初日は練習ラウンドで描いたそんな想定を大きく上回る7アンダー「65」をマーク。それでも、3人が並ぶ首位タイと、周囲も想定以上に伸ばしてきた。「グリーンが硬くて私のボールはなかなか止まらなかったけど、同組の選手は止まっていた。止まるボールを打つのはこれからの課題だなと改めて思いました」。もちろん、試合展開の想定を修正するのもお手の物だろう。
現時点で最後の優勝は昨年3月の「Vポイント×ENEOSゴルフ」。今季何人かの選手が果たしたウン年ぶりの復活というわけではないが、鈴木にとっては久々の優勝に向けて視界良好だ。(文・田中宏治)