
<CAT Ladies 初日◇22日◇大箱根カントリークラブ(神奈川県)◇6652ヤード・パー72>
ツアー通算7勝の吉田弓美子をキャディに起用した櫻井心那が「65」の好スコアをマークし、鈴木愛、入谷響と並んで7アンダー・首位発進を決めた。「私はミスを引きずるタイプなんですけど、弓美子さんはポジティブなんで」と先輩プロのサポートを受けながらの好スタート。2季ぶりの優勝に向けて、頼もしい味方を得た。
櫻井が吉田と仲良くなったのは、下部ステップ・アップ・ツアーで賞金女王に輝いた2022年に何度か同組で回ったことがきっかけ。「それ以来かわいがってもらっています。時々食事に行ったり、毎年秋にはディズニーランドにも行ってます」。キャディが決まったのもオフに食事に行った際の何気ないやり取りからだった。「冗談で『キャディやりますか?』って言ったら『やる、やる』ってホントになっちゃった感じです」。その場で初タッグが決まった。
その初陣となる1番パー5は残り240ヤードの2打目を50センチにつけて、幸先のいいイーグル。8番からハーフターンを挟んで4連続バーディを奪うと、上がりの17、18番は連続バーディと、序盤、中盤、終盤と常にスコアを伸ばした。
今週はパターも初めて使用するクラブ。「目澤(秀憲)コーチのスタジオから掘り出してきました。コーチが学生時代に使っていたパターらしいです」。これまで使用していたモデルと同様のピン型だが、重心距離が短く、難しいパターとのこと。4連続バーディが始まった8番では手前から7メートルを沈めるなど、今週の高速グリーンにこのパターがマッチした。
一昨年は4勝を挙げて大ブレークを果たしたものの、昨季は不振に陥り未勝利。今季もここまでトップ10入りは1回だけと結果が出ていない。「『おかしいなあ』って感じです(笑)。全然もっとやれるのに、結果は全然出てくれない。力はついてるし、ゴルフが上手くなってるというのは自分で感じているので、何かきっかけがあればと思ってます」。あとはきょうのようなゴルフをいかに継続できるかだ。
今季の目標を問われると「目標ですか? えー」と苦笑い。考えた末に「今は目の前のことだけで、目標はあまり考えられないんですよ。それでも、メジャーとか、今週もですけど、難しいセッティングで勝ちたいという気持ちはあります」と絞り出した。
まずは残り2日。「今週はいい緊張感もあるので、いい方向に向いてくれたら。優勝に値するような技術はつけてきたつもりなので、行けると思います」。秘めたポテンシャルは2年前の4勝で証明済み。久々にその力を解放させる時が来た。(文・田中宏治)