免許不要で「車道も歩道も走れる“クルマ”」超画期的だった! これぞ「特定小型原付」の真の目的!? 「免許返納後の足に」期待の声

glafitが開発している四輪型の特定小型原付に乗りました。16歳以上なら免許不要で乗れて、なおかつ歩道も合法的に走れる“クルマ”、期待する声は大きいようです。

タイヤがめっちゃ傾く!でも車体は安定

 glafit(和歌山市)は2025年7月29日、大阪・関西万博の会場で開発中の四輪型モビリティ「WAKU MOBI(ワクモビ)」の屋外デモンストレーションを行いました。

 ワクモビは、電動キックボードなどが主に該当する「特定小型原付」に分類される1人乗りの電動モビリティで、最高速度は20km/h。16歳以上なら免許不要、ヘルメットも努力義務ですが不要で運転できます。

 会場にはオープン型とキャノピー(屋根)付きの2タイプが用意されていました。一見すると原付のホンダ「ジャイロ」くらいに見えますが、実は「自転車と同じサイズ」だそう。

 特定小型原付の要件である長さ190cm以下、幅60cm以下に収まるよう開発しており、これはすなわち「普通自転車」の要件と同じです。後述しますが、この「自転車の大きさ」はかなり重要な要素です。

 特別に運転させてもらうと、その感覚は独特なものでした。ペダルはなく、バイクのようにハンドルを回すスロットルで動くのかと思いきや、電動キックボードと同じく、ハンドルを持ちながら親指で小さなレバーを押して加速します。そしてレバーを離すと自動で制動がかかり、やがて停まります。惰性走行はほとんどありません。

 これは「モーターにブレーキをかけている」のだそう。日産の「e-power」搭載車種などの一部に採用されている、ペダルひとつで加速と減速ができる「e-ペダル」と同じ原理だといいます。左手側にブレーキレバーはあるものの、これはほぼ緊急用、というより「車体要件的に必要だから」付けているといっても過言ではないそうです。

 さらに、このクルマで力を入れているのが、アイシンと開発しているという「姿勢保持機構」です。自在に動くサスペンションとタイヤのリーン(傾斜)機構により、段差に片輪を乗り上げても車体はあまり傾きません。片輪が勾配20%の斜面に乗っていても姿勢を保持するという安定性を発揮します。

 加えて、特定小型原付ならではの特徴として、最高時速6km/hの「歩道モード」に切り替えが可能な点が挙げられます。この車体で合法的に歩道を走れるのです。

シニアカーの代わりにもなるし「速い」

 歩道走行モビリティは、いわゆるシニアカーを含めた“電動車いす”の領域ですが、ワクモビはここをカバーしてしまいます。「普通自転車サイズ」だからこそ歩道の走行が可能なのです。

 さらに、今回はラジコンのようなコントローラーを通じた無線の遠隔操作による無人走行を披露していましたが、完全な自律走行も視野にあるといいます。広い工場や倉庫でキャリアを牽引して荷物を運ぶような用途も想定しているといいます。

 glafit広報の安藤明子さんによると、このワクモビに期待するユーザーは多いとのこと。第一には「免許返納後のアシ」。電動車いすやシニアカーだと遅いため、出かける機会が減って引きこもってしまう問題があるといいます。

「一番大きいのは、親に免許を返納してほしい子世代からプレゼントしたいという声ですね」

 安藤さんによると、2027年頃の市販化を目指しているとのこと。価格は、「シニアカーが70~80万円、軽自動車が150万円ほどなので、その中間くらい。100万円を切れるか……」というイメージだそうです。

 glafitはペダル付原付でヒットを飛ばし、2023年の特定小型原付の制度創設には主導的な役割を果たしましたが、それ以前から四輪車の開発を目指していました。「電動キックボードの区分」に思われがち、ともすれば色眼鏡で見られがちな特定小型原付ですが、本来はこのように、かなり多様なモビリティを想定したものです。制度の柔軟さを、ワクモビはフルに生かす商品になるかもしれません。

【動画】ワクモビの「めっちゃ小回り効く!」走りを見よ!

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