本当にイラン核兵器作れなくなった? ステルス爆撃機の応援まで得たイスラエル でも米情報機関は悲観的な評価

イランの核兵器開発能力を徹底的になくそうと背製攻撃を行ったイスラエル。最終的にはアメリカがB-2ステルス爆撃機と地中貫通爆弾まで投入しました。しかし、それでも米情報機関は厳しい見方をしているようです。

米空軍のB-2戦略爆撃機×MOPまで投入

 2025年6月13日の未明、イスラエル空軍は歴史的な大規模かつ精緻な航空作戦を発動しました。

 この攻撃は、イランの核開発能力の無力化を目的としたもので、ただの局地的な戦闘ではありませんでした。のちに「12日間戦争」と呼ばれるようになった本作戦は、事実上、イスラエルとアメリカが連携した対イラン「限定戦争」で、現代軍事史における航空戦力の集中運用に立脚した戦い方として、注目に値すると言えるでしょう。

 そこで、改めて作戦開始から振り返ってみたいと思います。

 開戦当日、イスラエルは空軍戦力の中核を成すステルス戦闘機F-35I「アディール」や戦闘爆撃機F-15I「ラーム」、F-16I「スーファ」などを動員し、イラン各地に点在する防空システムと飛行場、核関連施設へ矢継ぎ早に精密攻撃を加えました。

 その結果、イランの防空網は早期に無力化され、ほとんどイスラエル空軍にされるがままとなってしまいます。

 また、イスラエルは人的リソースへの攻撃も怠りませんでした。イランの核物理学者を次々と暗殺します。作戦全体の周到さと冷徹さには、イスラエル特有の国としての生存戦略の一端が如実に現れていたと言えるでしょう。

 最終的に、イスラエル空軍は12日間でのべ1500機を出撃させており、同国が本気になった場合、どれだけの航空戦力を集中投入できるか、その一端を垣間見ることができたとも言い換えられるかもしれません。

 しかし、地下深くに埋設されたイランの核施設、特にフォルドゥのような高度に防護された複合地下施設に対しては、イスラエル空軍の手には余りました。ここで登場するのが、アメリカ空軍の戦略爆撃機B-2「スピリット」です。アメリカはイスラエルの支援として7機のB-2を展開させ、計14発のMOP(Massive Ordnance Penetrator:地中貫通爆弾)を投下しています。

イランの核開発能力は失われたのか?

 MOPは、重量13.6tもある超大型の爆弾で、通常兵器としては地球上でもっとも貫通力の高い兵器ともいわれます。強化されたコンクリートで隠蔽されていても、それを貫いて下に隠された重要兵器や施設をも破壊できる能力を持ち、理論上は核開発の「最終拠点」にも打撃を与え得る数少ない攻撃手段でした。

 前述したように、戦争は12日間という短期間で終了し、イスラエルは当初の目標を完全に達成し、勝利したと発表しています。しかしイスラエルとアメリカによる軍事行動が、果たして「戦略的成功」となり得たのか、という点は、いまだ明らかではありません。

 アメリカのトランプ大統領は、戦いの後で「イランの核開発能力を少なくとも10年は後退させた」と豪語しています。しかし、一方でアメリカ国防総省の中間評価はより冷静で、「実質的に2~3年程度の後退に留まった」と明記しています。さらに懐疑的なのはアメリカ国防情報局(DIA)で「破壊されたのは一部施設と技術者群にすぎず、(イランの核開発能力については)数か月後退させたに過ぎない」という厳しい評価を下しています。

 これらを鑑みると、イランの核開発能力が「失われた」と断定するのは、いささか早計だと言えるでしょう。むしろ、12日間戦争がもたらしたのは、核武装への「一時的な遅延」や「改めての核武装への決意」かもしれません。

 戦争とは、戦術的な勝利と敗北だけでは測れません。真の帰結は、時の経過と共に姿を現すものであるため、12日間戦争の「結論」は、これから数年をかけて徐々に明らかになるでしょう。

 イランは、核の扉を再び叩くことになるのか、問いは、まだ残されたままです。

externallink関連リンク

【画像】尾翼にナニ描いている? これがイスラエルのF-35ステルス戦闘機だ「見慣れぬ巨大空母」が東京に来る! 飛行甲板に所せましと並ぶステルス戦闘機を捉えた圧巻の画像が公開ついに「トルコ製ステルス戦闘機」輸出へ!? F-22やSu-57と同じ第5世代戦闘機 しかし問題も?
externallinkコメント一覧

コメントを残す

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)