
ファーストクラス顔負けの設備を持つ「ビジネスクラス」を持つカタール航空が、新型ビジネスクラスを“空の祭典”で展示していました。どのような特徴を持つのでしょうか。
これまでの「Qスイート」の特徴を活かしつつ
世界の航空会社では、ファーストクラス顔負けの設備を持つ「ビジネスクラス」の開発競争がいています。そのようななか中東国らしい豪華な内装と、世界の航空会社でトップクラスのサービスをするのが、カタール航空です。同社では新型ビジネスクラス「Qスイート Next Gen」の実装を予定しています。どのようなものなのでしょうか。
「Qスイート Next Gen」はカタール航空で人気を誇る現行ビジネスクラス「Qスイート」の“次世代バージョン”といえる座席仕様です。既存の「Qスイート」の特徴は、一部中央席が対面式となっていることで、4人で対面にして過ごせるなどです。
具体的には「Qスイート」は個人用モニターのスライドで4人部屋へ変わりますが、モニターになかば遮られ対面の人の顔が見えにくくもありました。「Next Gen」はこれを改善しモニターを壁面に収めるようにしました。さらに窓側席についても、対面で過ごすことが可能な仕様が搭載されています。
また「Next Gen」は座席の広さ自体も現行の「Qスイート」より広くなっているほか、ワイヤレス充電機能の搭載、ロック式収納スペースの搭載なども備わっているとのことです。
しかし「Next Gen」は、まだ実機に搭載されているわけではなく、その姿を見るのは現状、航空界の国際展示会や航空ショーなどに限られています。
「次世代Qスイート」まだ実用化されていない?
というのも、「Next Gen」が実装される予定の旅客機は、ボーイングが実用化に向けテストを続けている大型双発ジェット旅客機「777-9」です。しかし当初は2020年に定期便へ就航予定だったものの、現状では世界の航空会社への納入予定が2026年へとズレ込んでいます。
とはいえ、2025年6月にフランスで実施された「パリ航空ショー」において、筆者は「Next Gen」の客室モックアップ(原寸大模型)を実際に見ましたが、たしかに噂にたがわぬ豪華さだったのは間違いありません。
「Next Gen」は展示場で紫色の照明で足元を照らされ、間仕切りやテーブル、シートはいずれもシックな色合いで落ち着いた印象を醸し出していました。クッションの座り心地は適度な反発があり疲れにくく、モニターを壁面に収めたことでシート全体に開放感が生まれ、曲線を多用した全体的なデザインも相まって上品に仕上がっていたように思います。
対面4人掛けのシートは別のメーカーのコンセプトモデルをほかの航空ショーで見たことがありますが、こちらはどちらかというと機能重視のみの直線的なデザインだったので、曲線を多用し色調が変わることで上品になるのは驚きでした。
そして、それ以上に驚いたのはパリ航空ショーにおいて、カタール航空が「QスイートNext Gen」のために専用の展示場を設けたことです。それもショー会場入り口のすぐ向かいに。それだけ、カタール航空はこの新ビジネスクラスの「QスイートNext Gen」に力を入れているのが分かりました。