
<大東建託・いい部屋ネットレディス 3日目◇26日◇ザ・クイーンズヒルゴルフクラブ(福岡)◇6503ヤード・パー72>
12位から出た36歳のママさんプロ、一ノ瀬優希が「67」と5つスコアを伸ばし、トータル11アンダーで首位タイに立った。
7番ウッドでピン奥2メートルに2オンさせた6番パー5でのイーグルを奪い、9番パー5ではグリーン奥のラフからチップインバーディを決めるなど、ド派手なチャージで躍進。11年ぶりとなるツアー通算4勝目に力強く王手をかけた。
「今週はすごくいいです。調子に乗っているみたいだけど、ホント調子がいい。ダンナのアドバイスもあって、落ち着いてプレーできています。自分はせっかちなんで、前に前に行きたがるけど、ダンナが『前はまだいるし、後ろも来ていない。ゆっくりでいいよ』とか。気持ちの面で助けてもらいました」
キャディを務めるのは、夫で国内男子ツアー通算2勝の谷口拓也。4歳の長女、1歳の長男を親に預け、大会初日の朝に滑り込みで繰り上げ出場を決めた。先週は下部のステップ・アップ・ツアー「あおもりレディス」で優勝。2014年「サイバーエージェントレディス」以来となるツアー通算4勝目へ、勢いはさらに加速している。
「親に子どもを預けているので、やるからにはちゃんと成績を残さないと申し訳ないと常に思っている。きょうは5アンダーで回れたら、首位と2打差くらいかなと思っていたけど、上が伸び悩んでいたので、ラッキーでした」
2度の産休・育休を経て、今年4月、1年7カ月ぶりにツアーの舞台に戻ってきた。ブランクが長いがゆえに、このまま逃げ切れば、さまざな記録もついてくる。
①ツアー史上初のステップ→レギュラーにまたがる2週連続V
②21年の若林舞衣子以来となるママさんV
③22年の金田久美子の11年189日に次ぐ、ツアー史上2番目のブランクVとなる11年84日ぶりの優勝
④17年のO.サタヤ(タイ)、18年の香妻琴乃に次ぐツアー史上3人目の現地ウェイティングからV
まさに記録ずくめの復活V。「あすは娘も来たいと言っているけど、ちょっと熱を出しているので、どうかな。下がったら連れてこようと思っています」。ママの晴れ姿を見てほしい。そのためのイメージも練り上げている。
「初日、2日目は3アンダー、きょうは5アンダーを目標にやって、ちゃんとクリアできた。あすも設定したスコアをクリアできれば優勝できると思う。しっかりやっていきたい」
19年「大王製紙エリエールレディス」2日目以来6年ぶりのボギーフリーラウンド。同大会3日目以来となる6年ぶりイーグルで弾みをつけて、17年「日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯」初日以来、8年ぶりの首位に立った。15年「フジサンケイレディス」以来となる最終日最終組から狙うは一つだけ。最後に出場が決まったベテランが最後に笑う。あとは痛快なシナリオを実践するだけだ。(文・臼杵孝志)
【出産後にツアー優勝した日本人選手&出産後の優勝回数】
森口祐子:11勝
樋口久子:2勝
木村敏美:10勝
山岡明美:4勝
塩谷育代:3勝
若林舞衣子:1勝
※1988年のツアー制度施行後