異様… イスラエルが「防衛業界大注目の場」で「出展したけどブース見せられません」異例対応 中には何が? ”激変の一夜”の裏側

世界の航空・防衛企業が出展する「パリ航空ショー」で、異例の事態が発生しています。イスラエルの出展企業の屋内展示ブース内が黒壁で覆われたのです。さらに一部は白に。この異様な光景はどういった理由から発生したのでしょうか。

1夜でできた「異様な壁」

 フランス・パリで16日から始まった世界最大の航空ショーで、イスラエルの出展企業の屋内展示ブースで異例の事態が発生しています。ブースの周囲が人の背を超える黒壁で覆われたのです。これは6月中旬に交戦状態に突入したイスラエルとイランのミサイルと無人攻撃機の応酬によるためと見られますが、さらなる謎が、壁の一部のみが「白」であることです。筆者は、そこにフランス政府のメッセージが現れているとみて間違いないと考えています。

 高さ2m以上あるであろう高い壁が覆ったのは、会場で並ぶ大型展示場の中でイスラエルからの出展企業がブースを構えた一角のみ。いずれも世界的な防衛機器メーカーであるIAI、ラファエルなどの展示ブースを板塀で囲んで黒い布を張り、来場者が入ったり中をのぞいたりすることができないようにしています。

 人が出入りしているのは、これらの会社のブースの奥にあるイスラエル国防省の事務所ブースのみ。自動小銃を持った仏の兵士2人が鋭い目つきで警戒をする中、イスラエル人でしょうか。時折人が訪れて黒塀の脇で立ち話をしていきます。激励でもしているのか、「ありがとう」と展示関係者が答える声も聞こえてきました。そして、この展示関係者が名前は明かさないでほしいと言った上で語ったのは、「15日の日曜日、夕方に出展の準備を終え、月曜日の朝に訪れたら、既に板塀でおおわれていた」。――つまり、展示場が板塀で囲われたのは1夜の出来事だったということです。

 そして、イスラエルとイランによる交戦状態の下、実際に壁が突貫工事で立てられたのは明らかで、わずかに開いていた扉代わりの板から1社の中を覗いてみると、展示用のビデオ映像が流れるままになっており、一部で照明も灯っていました。

企業の担当者も「?」な白壁の謎

 とはいえ、「入念な仕事だよ」という感想とともに、この企業関係者が仏政府の指示に間違いないと話しながら指したこの壁は、張られた黒幕にたるみやゆるみは一切なく丁寧な仕事がなされており、よほど強い意志で指示が出されたのが分かります。さらに、その入念さを一層加えて作業したのが、「この一角だけ、なぜ白い幕で覆っているか分かるかい」と指した壁でした。上には白色に塗られたミサイルの先端が突き出ているのが見えます。

「あの先端はイランの兵器を撃ち落とすのに用いられた『ダビデスリング』という迎撃ミサイルだよ。あのミサイルを出来るだけ隠したかったのさ」と企業関係者。黒壁ではミサイル先端の白色がかえって目立つため、白壁にしたのだろうとのこと。フランス政府は、イスラエルの軍事行動の拡大をけん制しつつ外交的解決を目指しているとされています。白壁は、フランス政府のこのメッセージをより明確に示していることが伺えました。

 ここまでだったら、中東情勢がパリ航空ショーに波及しただけで終わるかもしれません。しかし、「これが、日本が弾道ミサイルを撃ち込まれた場合なら、どう思う」。イスラエル企業関係者が続けた言葉に、筆者はドキリとしました。

 確かに日本が緊張状態下になり実際に対空ミサイルを迎撃に使い、使ったミサイルを海外の展示場で隠されたら……日本は抗議するでしょう。実際、IAIは早々にインターネットで抗議声明を発表しています。航空ショーはにぎやかなものの、イスラエル企業の展示ブースの一角だけ静まり返っていたことからも、緊迫する国際情勢が伝わりました。

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