
プレー中におけるタバコのポイ捨ては、絶対にやめたほうがいい。それを証明する出来事が、3月10日に栃木県足利市の東松苑ゴルフ倶楽部で起きた。
3番の左ラフから出火し、ゴルフ場外の山林に飛び火。足利市消防本部によれば、10日の午前11時31分に、ゴルフ場付近の山林から煙が上がっていると通報を受け、消防車17台と群馬県の防災ヘリ1機が出動。消火にあたり、翌11日の午前10時51分に鎮火。延焼面積は75アール(7500㎡)に及んだ。
どうやらこれ、ゴルファーによるタバコの不始末が原因のようだ。同ゴルフ場の中島和也社長が、当日の状況を振り返る。
「セカンド地点と思われる左のラフ内の、火の気がないところから発生しているので、状況証拠で判断するしかないのですが『タバコの不法投棄と思われる』というのが消防の言い方でした」
愛煙家ゴルファーによるタバコのポイ捨てが最も疑われるところだが「特定はできない」状況なだけに、コース側としても対応に苦慮するところ。
「コース内全面禁煙のゴルフ場も出てきているみたいですが、たとえ全面禁煙にしたとしても結局、吸いたい人は吸ってしまう。見えないところで吸われて、さらに危ない状況になるので得策ではありません」と思案した結果、次のような対策案が生れた。
「売店も含めてコース内の8か所に明確な喫煙場所を作ります。それ以外の場所で吸った場合にはペナルティが発生する。場外の民家に飛び火したら(住民の)財産とか生命も危険にさらすことになるし、仮に場内で収まったとしてもゴルフ場はメンバーの大事な財産。それを守るためには一定のルールは作らざるを得ません」と中島社長。
喫煙場所を設ける一方で、喫煙ルールを守らなかったゴルファーには厳しく対応する「アメとムチ作戦」で対応していく構えだ。
そうした中、日本ゴルフ場経営者協会(NGK)の大石順一専務理事はゴルフ場の火事の恐ろしさをこう明かす。
「芝生の上はね、火が走るんです。しかも日中は明るすぎちゃって、実際は火が見えないんですよ。夜なら暗いので見えるんですが、火の回りは人間が走るぐらいのスピードではかなり早い。危険なんですよ。山も今は下草を刈っておらず荒れています。山火事で死ぬっていうのはそういうことだと思う。だから芝の上で吸うのはやめた方がいいです」
それだけに今回は日本ゴルフ協会(JGA)も異例の速さで対応。出火の翌日である3月11日に、オフィシャルウェブサイトで「ゴルフを愛する皆さんへ」と題した声明を発表した。その内容はズバリ、プレー中におけるタバコのポイ捨て禁止だった。
自分や同伴競技者、しいては近隣住民の安全を守るためにも、喫煙マナーは守りたい。(日本ゴルフジャーナリスト協会会長・小川 朗)
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