
<ヨネックスレディス 2日目◇7日◇ヨネックスカントリークラブ(新潟県)◇6339ヤード・パー72>
ルーキーの手束雅は、パターを替えてから予選落ち知らずだ。21位タイから出た2日目は4バーディ・1ボギーの「69」をマーク。トータル5アンダー・13位タイに浮上し、決勝に駒を進めた。
昨年11月、6度目の挑戦でプロテストに合格。12月のファイナルQTでは42位に入り、今季はこれがレギュラーツアー6試合目となる。「試合に出られるだけで毎週楽しい」と、ツアープロとして戦う喜びをかみしめている。
オフはタイで人生初のゴルフ合宿に参加。師事する石井忍コーチらと約2週間、ゴルフ漬けの生活を送り、技術面などゴルフ力の底上げをしてシーズンを迎えた。デビューから3試合連続で予選落ちを喫したが、「すぐにスコアにつながるかというと、難しい。できることは増えているけど、マネジメントがうまくかみ合わなくてスコアになっていなかった」と結果を冷静に受け止めていた。
ただ、直近2戦はともに決勝へ進出。転機はパッティングコーチの鴻上みらい氏に、パター変更を勧められたことだった。以前はショートネックのマレット型を使用していたが、「フェースの下目で打つクセ」に合わせて、重心が低いダブルベントネックのブレード型にチェンジした。
開幕3試合(6ラウンド)の1ラウンド平均バーディ数は0.83個だったが、パター変更後10ラウンドでは3個に急増。「こっちのヘッドのほうがアドレスがしやすくて、いい感じです。バーディの数が増えて、自信を持てるようになりました」。バーディ増加に伴い、スコアメークも安定してきた。
QT組にとって、この時期に気になるのは中盤戦以降の出場権を左右する第1回リランキング。2戦後の「ニチレイレディス」終了時点のリランキング30~35位までが、中盤戦フル出場が見込める。手束の暫定順位は51位。この好機を生かし、多くのポイントを上積みしたい。
とはいえ、過剰な意識はない。「少しでも上を目指していきたいですけど、それは心の片隅に置いて。最低限の予選通過はできたので、(自分を)褒めてあげて、最終日はしっかり頑張りたい。今週は心強い相棒がいるので、まずは楽しみたい」と話す。
その心強い相棒が、今週キャディを務める同学年の横山もも。手束は昨年まで『マイナビネクストヒロインツアー』に参戦していたが、横山さんも同ツアーでしのぎを削ってきた仲間だ。プライベートでも親しく、オフのタイ合宿では同部屋でゴルフに向き合ってきた。
横山は「話し相手になっているだけですよ」と謙遜するが、手束にとっては「それが一番いい。楽しくて」。大事な場面や不安な時には相談でき、何よりゴルフを楽しむ支えになっている。上位入りが狙える位置で迎える最終日。初めての経験を、楽しみながら乗り越えていく。(文・小高拓)