幅広になったメジャーコースに潜むワナ、2番ホールの二面性… 昨年覇者も警戒する「見極め」とは?

<BMW 日本ゴルフツアー選手権 森ビルカップ 事前情報◇4日◇宍戸ヒルズカントリークラブ 西コース(茨城県)◇予選=7397ヤード・パー70、決勝=7430ヤード・パー71>

2000年から続く国内メジャーが今年も、名門・宍戸ヒルズカントリークラブ 西コース(茨城県)で開催されている。開幕前の水曜日には、日本ゴルフツアー機構(JGTO)の公式会見が開かれ、コースセッティングについて発表された。
■注目は2番ホール 予選パー4→決勝パー5に

今年最大の変更点は、左ドッグレッグな2番の設定だ。昨年は7430ヤード・パー71で行われたが、今年は予選ラウンドは486ヤードのパー4、決勝ラウンドは519ヤードのパー5とされる。これにより、予選は7397ヤード・パー70、決勝は7430ヤード・パー71になった。

倉本昌弘JGTO副会長は、「実は2005~07年にも2番ホールをパー4で運用していたときがある」と説明。予選と決勝でティイングエリアを使い分ける意図について、2つの理由を明かした。

1つ目はプレースピード。「人数の多い予選ラウンドの時に、プレーのスピードを極力早くしたい」。パー5に設定すると2オンを狙う選手が多くなり、2打目地点での待ち時間が発生する。進行を円滑にするため、予選はパー4にしてスピードアップを図る作戦だ。

2つ目に難易度を高めたいから。「パー5にした去年の平均ストロークが『4.5』くらいだった。難しいパー4の平均ストロークと変わらない。ティを約50ヤード前に出して『4.3』くらいになるような設定にしたい」。どのような平均スコアになるのか、注目したい。

この設定は、天候や風の状況によっては、「予選でもパー5に、決勝でもパー4に変更する可能性もある」という。状況に応じた柔軟な運用がされる。

昨年大会を2位で終えた石川遼は「ティショットは少しショートカットしていくようなイメージになる。慣れ親しんだアドレスの向きよりは、左に向くような形になる」と、パー4のときはティショットで左を狙い、フェアウェイに運ぶマネジメントを意識することを明かした。

■広くなったフェアウェイにはワナも…

もう一つの大きな変更点が、ラフの大幅な刈り込みだ。「年間を通じても1番ティショットが難しい」と語る石川の言葉通り、フェアウェイの狭さが際立っていた宍戸ヒルズCC。しかし今年は、場所によっては昨年より8ヤード広げられた。

倉本副会長は「選手が思い切って振れるようにしたかった。周囲の木々も伐採し、コースが明るく見えるようになっている」と意図を語る。特に、1番のフェアウェイとグリーン前の花道、4番の池横のラフ、13番パー3のグリーン左、14番の両サイド、17番グリーンと池の間、18番左サイドなどに顕著な変化が見られる。
しかし、“広くなったから易しくなった”とは限らない。昨年覇者の岩田寛は「ファーストカットはライの見極めが難しい」と話す。というのも、今回のファーストカットはもともとラフだった場所を刈り込んだもので、芝質や根の状態は通常のラフに近い。芝が薄い分、ライが悪ければフライヤーや打ちにくさのリスクも増す。

13番のような砲台グリーンでは、ラフが残っていれば“浮いた状態”で打ちやすいが、芝が薄いとヘッドが刺さりやすく、高い球を打つのが難しい。「アプローチでは芝の目やライとの向き合いが大事になる」と、岩田も警戒を強めている。

さらに17番では、グリーン前に広がる池とグリーンの間のラフがなくなり、グリーンを狙うショットでショートすると池に入ってしまう。「前はラフがあったので止まっていた。ピンが手前に切られたらけっこう難しい。17番(グリーン)は奥からが宍戸で1番(グリーンスピードが)速いから、奥に乗せたら難しい」と警戒。上がりホールでスコアが変動する可能性が非常に高い。
■グリーンは例年よりスピード抑えめ ピン位置の自由度を重視

グリーンのセッティングにも今年は調整を施した。12~13フィート、コンパクションは24~25の設定となる見込みだが、「実際には14フィートも出せる状況。しかし、そうすると切れるピン位置が限られてしまう」として、今年はあえてスピードを抑える方向で調整された。

倉本副会長は「せっかくフェアウェイを広げましたし、これまで使えなかったピン位置を使えるようにしたい。そのためにはグリーンのスピードを少し抑える必要がある」と説明した。

ラフのエリアが減ったことでティショットはやや打ちやすくなったが、ファーストカットやグリーン周りの難しさ、加えて戦略的なコースマネジメントは、これまで以上に選手たちの技術と判断力が試される。開放されたフェアウェイの先に待ち受ける“ワナ”をどう乗り越えるのか。そして今年はどんなドラマが生まれるのか注目だ。(文・高木彩音)

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